2013 Fiscal Year Research-status Report
島嶼環境における生物群集の成立機序と適応進化のゲノミクス
Project/Area Number |
24570031
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
長谷川 雅美 東邦大学, 理学部, 教授 (40250162)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 哲 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (80271005)
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Keywords | 島嶼 / 捕食者 / 系統地理 / 色彩パタン / 遺伝様式 |
Research Abstract |
本研究の目的は、島嶼生態系における食物連鎖の成立機序に対応した捕食者と被食者の適応進化を遺伝子レベルで解明することである。具体的には、捕食者の色彩パタンの適応進化に関わる生態学的情報が十分に得られている伊豆諸島、伊豆半島のシマヘビとトカゲ類を主な対象として、ゲノム及び候補遺伝子の分子遺伝学的解析を行い、島嶼環境における捕食者―被食者関係の成立機序を詳細に再現するとともに、捕食者の色彩パタンを進化させた自然選択の強さと時期を推定し、ゲノムレベルと行動・生態レベルでの適応進化を実証する。25年度の成果を、4つの研究項目ごとに記述する。 1)捕食者-被食者系の成立機序とその年代推定:懸案であったオカダトカゲの系統地理学的解析を完了し、論文を投稿し採択された。本土の餌生物の代表としてモリアオガエルを選び、その系統地理学的解析に取り組み、予備的には十分な成果を得た。H26年度に完了させる見込みがついた。 2)捕食者の色彩を認知し、回避する行動の解析:まだ成果が上がっていない。H26年度夏季の重要なテーマである。 3)シマヘビの色彩パタンの地理的変異、色素細胞の構成、遺伝様式:シマヘビの色素胞を組織学的手法で検討し、黒化型は真皮層の黄色素胞と虹色素胞が欠如する遺伝的変異個体であること、ストライプ型と非ストライプ型は、黒色素胞の量と配置の仕方の違いによることを解明し、その成果を投稿論文にまとめ、採択された。ストライプ型と非ストライプ型は不完全優性遺伝であるとの仮説を立て、各色彩型の出現様式と頻度から、仮定した遺伝様式の可否を判定して、その成果を論文にまとめて投稿し、採択された。 4)候補遺伝子と核ゲノムの分子集団遺伝学的解析による自然選択の検出:mRNAの発現解析を行い、色彩型の違いを生み出す遺伝子の候補を絞り、いくつかの遺伝子の配列を決定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
シマヘビの色彩型に関する組織学的研究の成果が上がったことで、その遺伝様式の解明、mRNAの発現解析から候補遺伝子の配列決定など、目標とした成果をほぼ予定通りあげることが出来ているから。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画に沿って平成26年度の研究を進めていく。色彩パタンの適応進化を解明していく上で、ゲノムの解明は不可欠な課題であることが次第に鮮明になったため、平成26年の課題として、mRNAの発現解析に集中し、色彩変異に関与する遺伝子の候補を絞り込むことで、成果を上げる計画である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
mRNAの発現解析に関して、予備的な研究段階にあるため、解析費の本格的な執行には至っていなかったから。 全組織からのmRNA発現解析に基づく遺伝子探索を行うか、色彩型の変異に関与する候補遺伝子を絞り込むためのmRNA発現解析を行うか、検討中である。いずれの場合も170万円のうち100万円をmRNAの解析に使用し、残りを野外調査の旅費、およびモリアオガエルの遺伝的解析に用いる予定である。
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Research Products
(3 results)