2012 Fiscal Year Research-status Report
高山植物数種における各種環境への化学的適応の多様性の解明
Project/Area Number |
24570035
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | National Museum of Nature and Science, Tokyo |
Principal Investigator |
岩科 司 独立行政法人国立科学博物館, 植物研究部, 部長 (30151731)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 化学的適応 / 高山植物 / フラボノイド / 紫外線防御 / ストレス耐性 |
Research Abstract |
本研究では、紫外線、低温、pH、貧栄養などの各種ストレスがかかる高山帯あるいは、低地から高山まで分布を広げる代表的な数種の植物において、これらが合成するフラボノイドなどのフェノール化合物による各種環境への化学的適応を解明することを目的とした。これを踏まえて、平成24年度には、北海道の大雪山と斜里岳、東北の鳥海山と月山でホソバウルップソウ、ヨモギ類、シオガマ類、トウヒレン類、イワブクロ、チョウノスケソウなどの調査を行い。これらの紫外線防御や抗ストレスに関与すると推定されるフラボノイドの予備的分析を行った。さらに今年は予備的に行っていたイワギキョウとチシマギキョウについて、紫外線防御物質の探索に関して学会で発表を行った。またこれまで継続して行っていたキク類などについても、細胞内と細胞外の両方にフラボノイドを蓄積し、それらがそれぞれに紫外線、低温、pH、貧栄養などの各種ストレスに対して反応し、利用していることを明らかにして、論文として発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度には今回の研究で研究対象として考えていた植物についての現地調査をおおむね完了することが出来、また予備的な解析も始められ、さらにはこれまで継続していた植物群の化学的適応に関しても論文としてまとめられたので、おおむね順調に研究が進展したと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度も引き続き、北海道、東北、さらには中部山岳地域への高山植物の調査を実施する。またこれと並行して、研究試料として用いる植物サンプルの各種環境に対する適応物質について、これを解析し、定性および定量実験を開始する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度の研究費の使用については、平成24年度に引き続き、各調査山域への出張費が中心になる。またこれと並行して、植物材料の各種環境への適応物質の各種クロマトグラフィーなどを用いた分離ならびに単離した化合物の各種スペクトルなどを用いた同定用の実験試薬などの購入を行う。またこれらの成果を発表する学会への参加のための交通費としても使用する。
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Research Products
(7 results)