2014 Fiscal Year Research-status Report

サケ科魚類における雄の降海性と降海型雄の繁殖形質の関係：進化生態学からの検証

Research Project

Project/Area Number	24570036
Research Institution	Fisheries Research Agency
Principal Investigator	玉手剛独立行政法人水産総合研究センター, その他部局等, 任期付研究員 (30374200)
Project Period (FY)	2012-04-01 – 2016-03-31
Keywords	性淘汰 / 性比 / 雄間闘争 / 体サイズ / 二次性徴
Outline of Annual Research Achievements	今年度の春季調査（サクラマスの降海期調査）は主に本州北部の太平洋側に位置する三河川（女遊戸川，音部川，石浜沢）で行い，本研究課題に係る降海型幼魚（スモルト）の性比等のデータを得ることができた。各河川におけるスモルトの性比（雌の割合）は下記のとおりである（括弧内は測定尾数）：女遊戸川，76.9% (13); 音部川，94.3% (53); 石浜沢，93.2% (59)。秋季のサクラマス親魚調査は上述の女遊戸川，音部川に加え，北海道東部・太平洋側の当縁川水系において重点的に行った。女遊戸川では計5尾の遡上親魚（降海型親魚）を採捕し，うち雌4尾（平均尾叉長56.1㎝），雄1尾（尾叉長56.0cm）であった。音部川においては計9尾の降海型親魚が捕獲され，うち雌8尾（平均尾叉長56.1㎝），雄1尾（尾叉長51.5cm）と性比は大きく雌に偏っているように思われた。一方，当縁川水系で採捕した降海型親魚22尾のうち，雌9尾（平均尾叉長49.6㎝），雄13尾（平均尾叉長43.4㎝）と本州北部河川と比較し，降海型親魚に占める雄の割合が高い傾向にあった。なお，本研究課題に係る成果発表として，Morita, K., Tamate, T., Kuroki, M., Nagasawa, T. Temperature-dependent variation in alternative migratory tactics and its implication for fitness and population dynamics in a salmonid fish.(2014, Journal of Animal Ecology) , 玉手剛「資源管理の知識基盤として，雌雄差を理解する」(2015, SALMON情報)がある。
Current Status of Research Progress	Current Status of Research Progress 2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned. Reason 雄の降海型親魚が比較的多い北海道東部河川のデータを概ね狙いどおり得ることができたため。
Strategy for Future Research Activity	次年度の調査においても特に降海型親魚の十分なサンプル数の確保を目指し，可能なかぎり多くの調査を行う予定である。
Causes of Carryover	当初の想定より旅費が少なく済んだため。
Expenditure Plan for Carryover Budget	次年度使用額については，出張（旅費）や消耗品の購入などに充てる予定である。