2013 Fiscal Year Research-status Report
植物含窒素化合物の中心代謝から特異代謝への代謝アロケーション調節機構の解明
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24570041
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
山崎 真巳 千葉大学, 薬学研究科(研究院), 准教授 (70222370)
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Keywords | 特異代謝 / 代謝アロケーション / アルカロイド / アミノ酸 / ポリアミン / リジン脱炭酸酵素 / アミン酸化酵素 |
Research Abstract |
植物は種や変種などに特異的な特異代謝(二次代謝)によって大きな化学多様性を有し、生理活性を有する物質が多い事から医薬品などの有用物質の資源として重要である。このような植物特異代謝は、種進化の過程で生存戦略のためにそれぞれに獲得された形質であると推測される。特異代謝は、種を超えて普遍的に存在する中心代謝(一次代謝)から派生する。本研究では、中心代謝であるアミノ酸代謝経路から特異代謝のアルカロイド生合成経路への分岐点に注目し、代謝の分配アロケーション制御機構を解明することを目的とする。 具体的には、アミノ酸リジンから生合成されるアルカロイドであるキノリチジンアルカロイド(QA)ならびにトリプトファンから生合成されるカンプトテシン(CPT)をはじめとするモノテルペノイドインドールアルカロイド類の生合成経路に関与する触媒酵素について、触媒酵素をコードする遺伝子のクローニング、組換えタンパク質を用いたin vitroで触媒機能解析とともに形質転換植物におけるin vivoでの代謝物変動解析等を行った。 その結果、キノリチジンアルカロイドを生産するホソバルピナスでは、多くの植物にも存在するオルニチン脱炭酸酵素(ODC)のホモログタンパクの活性中心近傍ににアミノ酸変異が生じており、オルニチンより炭素鎖1つ長いリジンをも効率よく脱炭酸する酵素(O/LDC)活性を有することが明らかになった。このアミノ酸変異は他のQA含有マメ科植物にも共通で観察され、この酵素の性質がQA生産能の要因であることが示された。さらにLDCの生成物カダベリンをさらに酸化する酵素アミン酸化酵素についても組換え酵素を用いて触媒機能を確認した。CPT生合成については、トランスクリプトーム解析とメタボローム解析を組み合わせた解析により生合成に関与すると推測される候補遺伝子を絞り込みを行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、オルニチン・リジン脱炭酸(O/LDC)について酵素の一次構造と基質反応性を明らかにすることでキノリチジンアルカロイド(QA)生合成の初期段階の触媒酵素を初めて明らかにすることができた。さらにマメ科におけるQA生産種の進化にODCからO/LDCへの分子進化が関与することを明らかにした。また、リジン脱炭酸の生成物カダベリンをさらに酸化するアミン酸化酵素についても触媒機能の詳細を明らかにしつつある。また、生合成経路の大半が不明なカンプトテシン生合成について、関与することが推測される候補遺伝子の絞り込みを行っており、本研究は概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
分類学上マメ科と離れているがQAと同様にリジン由来のリコポディウムアルカロイドを生産する植物についてO/LDCのアミノ酸配列および酵素触媒機能を明らかにする。このことにより、アルカロイド生産の収斂進化の分子機構を解明する。また、O/LDC酵素反応につづくポリアミン酸化等のQA生合成経路に関与する酵素について触媒機能を明らかにすることによりQA生合成の全体像を明らかにする。CPT生合成については、トランスクリプトーム解析とメタボローム解析を組み合わせた解析により絞り込んだ候補遺伝子について酵素触媒機能等を解析する。
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Research Products
(6 results)
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[Journal Article] Coupling Deep Transcriptome Analysis with Untargeted Metabolic Profiling in Ophiorrhiza pumila to Further the Understanding of the Biosynthesis of the Anti-Cancer Alkaloid Camptothecin and Anthraquinones2013
Author(s)
Mami Yamazaki, Keiichi Mochida, Takashi Asano, Ryo Nakabayashi, Motoaki Chiba, Udomson Nirin, Yasuyo Yamazaki, Dayan B Goodenowe, Ushio Sankawa, Takuhiro Yoshida, Atsushi Toyoda, Yasushi Totoki, Yoshiyuki Sakaki, Elsa Góngora-Castillo, C Robin Buell, Tetsuya Sakurai, Kazuki Saito
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Journal Title
Plant and Cell Physiology
Volume: 54
Pages: 686-696
DOI
Peer Reviewed
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