2013 Fiscal Year Research-status Report
ゲノム情報に基づくシアノバクテリアの立体的構造パターン形成の研究
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24570043
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐藤 直樹 東京大学, 総合文化研究科, 教授 (40154075)
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Keywords | 細胞運動 / シアノバクテリア / ゲノム解析 / 数理モデル |
Research Abstract |
本研究は,生物の「生物らしさ」の本質を理解するため,創発的な現象の代表例として,シアノバクテリアのフィラメントが集団で形 成する2次元・3次元の構造形成に関わる遺伝子の解明とともに,運動の力学的解析を通じて,構造形成の数理的な解明を目指している 。 本年度は,<i>Phormidium</i> sp. strain KSのゲノム解析を中心に行った。昨年度に454によって得たリードのアセンブル結果を元に,scaffold間をPCRで増幅し,Sanger法によるシーケンスによって接続する作業を繰り返した。その結果,5.2 Mbpのメインゲノム,0.5 Mbp,0.25 Mbp, 87 kbp, 32 kbp, 14 kbpの環状プラスミドの配列を得た。さらにIllumina MySeqによる150塩基長ペアエンドの5000万リードを得て,これについてvelvetを用いてアセンブルを行い,平均カバレッジ26程度のコンティグを得た。今後は,これら両者を会わせて,配列の補正を行い,最終的な塩基配列を完成する。さらに,遺伝子の推定とアノテーションを行う。 なお,今の段階で,運動に関わる遺伝子として,Type IV piliに関わる遺伝子を同定した。 これに加えて,電子顕微鏡による観察を行い,このシアノバクテリアは,薄いディスク上の細胞が多数積み重なって,一つのフィラメントを構成していること,細胞の外側には,多糖類と思われる繊維状のものでできたさや状構造体が形成され,細胞が移動したあとには,さやが残されることなどを確認した。 今後は,これらの情報を総合して,細胞運動によるマクロな構造形成のしくみを解明する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ゲノム解析が,二通りの方法で進み,ゲノムの全体像がほぼ明らかになってきたので,当初目指していたことは達成できていると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,ゲノム配列の完成に向けた,配列のブラッシュアップとアノテーションを進める。アノテーションに関しては,従来から開発してきたGclustによる多種シアノバクテリアを用いた遺伝子クラスタリングを利用することにより,効率よく進めることができると考えられる。 7 Mbpのゲノムは,シアノバクテリアとしてはかなり大型であるが,今の技術であれば,問題なく完成することができると思われる。 これに加えて,当初の全体目的である,動く細胞が作る動的な構造について,その形成に関するモデルを構築する。ゲノム情報から得られる運動装置のセット,電子顕微鏡観察から得られる細胞周囲の構造,細胞フィラメントの運動解析,そしてマクロな構造形成経過などの,異なるレベルでのデータを階層的に組み上げて,ミクロからマクロにいたる構造の階層を明らかにする。これに基づいて,最終的に観察されるマクロな構造のしくみを提案する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初,DNA塩基配列の決定を大量に外注する予定であったが,予想より単価が安くなったことと,他の経費でも支出することができたため,残額が生じた。 当初の予算金額と会わせて,有効に活用する。 具体的には,論文の投稿料などとして使用する計画である。
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[Journal Article] ppdb: plant promoter database version 3.0.2014
Author(s)
A. Hieno, H. A. Naznin, M. Hyakumachi, T. Sakurai, M. Tokizawa, H. Koyama, N. Sato, T. Nishiyama, M. Hasebe, A. D. Zimmer, D. Lang, R. Reski, S. A. Rensing, J. Obokata and Y. Y. Yamamoto
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Journal Title
Nucleic Acids Res.
Volume: 42
Pages: D1188-D1192
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Role of galactolipid biosynthesis in coordinated development of photosynthetic complexes and thylakoid membranes during chloroplast biogenesis in Arabidopsis.2013
Author(s)
K. Kobayashi, T. Narise, K. Sonoike, H. Hashimoto, N. Sato, M. Kondo, M. Nishimura, M. Sato, K. Toyooka, K. Sugimoto, H. Wada T.Masuda, H. Ohta
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Journal Title
Plant J.
Volume: 73
Pages: 250-261
DOI
Peer Reviewed
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