2014 Fiscal Year Annual Research Report
植物における光シグナルと環境ストレス応答のクロストーク
Project/Area Number |
24570058
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
坂田 洋一 東京農業大学, 応用生物科学部, 教授 (50277240)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ABA / ヒメツリガネゴケ / クロロフィル / オートファジー |
Outline of Annual Research Achievements |
1.ヒメツリガネゴケPP2C欠損株の暗黒化における緑色維持機構について、光シグナル伝達経路の異常を疑い、遺伝子発現が明暗により制御されるRubiscoサブユニット遺伝子, CAB1遺伝子の発現を解析した。サーカディアンの影響を避けるため、野生型株およびPP2C欠損株原糸体を48時間暗黒処理し、経時的にサンプリングを行った。抽出したRNAを用いてRNAゲルブロット解析を行った。その結果、野生型株とPP2C欠損株において明所から暗所に応答した遺伝子発現の抑制パターンに変化は観察されなかった。このことは、PP2C欠損株において光シグナルが恒常的に活性化しているわけではない事を示しており、光合成機能に関連する遺伝子は暗黒化で野生型株と同様の制御を受けていることが示唆された。 2.上記結果より、ヒメツリガネゴケPP2C欠損株の暗黒化における緑色維持機構にはクロロフィルの合成あるいは分解の停止が関与していることが示唆された。そこで、クロロフィル合成・分解の主要経路に位置する遺伝子の発現を上記と同様の条件で解析を行ったが、合成系の遺伝子が暗黒化で活性化されていた。一方、分解系で作用するクロロフィラーゼ野生型株とPP2C欠損株の間に有意な差は観察されなかった。このことからヒメツリガネゴケPP2C欠損株の暗黒化における緑色維持機構は、合成系の活性化に起因することが示唆された。 3.オートファジーは暗所での緑色細胞の白色化に関与していることが報告されている。オートファジーの阻害剤である3-methyl-adenineを加えた培地で野生型株およびPP2C欠損株原糸体を明所24時間処理した後に、暗黒化で培養したところ、野生型株およびPP2C欠損株ともに、緑色を維持していた。このことから、PP2C欠損株におけるオートファジー異常が暗黒化における緑色維持機構に関与することが示唆された。
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