2012 Fiscal Year Research-status Report
高等植物の多様なRNAサイレンシング経路の制御機構
Project/Area Number |
24570062
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | National Institute for Basic Biology |
Principal Investigator |
星野 敦 基礎生物学研究所, 多様性生物学研究室, 助教 (80312205)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | RNAサイレンシング / 遺伝子発現調節 / small RNA / 植物 / 花 / アサガオ |
Research Abstract |
高等植物におけるRNAサイレンシングと遺伝子発現の制御機構の解明を目的として、低分子RNAによる花色遺伝子の発現抑制が関与するアサガオの模様形成機構を解析した。 まず、模様形成の分子機構について、非着色細胞で特定のRNAi経路が活性化しているとする「RNAi活性化モデル」と、RNAiを誘導するノンコーディングRNAの転写量が多いためにRNAiが活性化するという「閾値モデル」を立てた。これらのモデルを検証するために、吹雪模様を構成する着色細胞と非着色細胞に蓄積するsmall RNAの配列を次世代シークエンサーで解析した結果、22塩基のsiRNAが非着色細胞で特異的に増加していることを見いだした。ほかの長さのsmall RNAは、着色細胞と非着色細胞の間で有意な差が見られなかったことから、この22塩基のsiRNAを構成因子としたRNAi経路が活性化していることが示唆された。 一方、模様形成に必要な優性遺伝子座の存在が遺伝学的な解析から示されている。これらをマップドベースクローニングするために、アサガオのゲノム情報の整備、特にアサガオの精密な遺伝地図の作成を試みた。必要な分子マーカーを大量に取得するために、新学術領域「ゲノム支援」の支援も受けてRAD-seq(Restriction Site Associated DNA Sequence)を行った。標準系統とアフリカ系統を交配して得たF2集団の各個体からゲノムDNAを抽出し、制限酵素などを用いてRAD-seq用のライブラリーを作成した。これを次世代型シークエンサーで処理し、得られた配列の計算機による解析を進めている。また、模様を持つ系統を標準系統と交配したF1植物を育成して、クローニングの材料とするF2種子を得ることもできた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
模様形成に係わる分子機構を説明する2つのモデルのうち、「RNAi活性化モデル」を支持する結果が得られ、模様の違いを支配する遺伝子座のマップドベースクローニングに向けたゲノム情報の整備が進んだため。
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Strategy for Future Research Activity |
「RNAi活性化モデル」については、 RNAi経路の構成因子の発現上昇が、RNAi経路の活性化の原因である可能性を検討する。とくに吹雪への関与が示唆されている、22塩基のsiRNAを産出する経路を重点的に解析する。構成因子の発現量をRT-PCRにより定量して、着色細胞と非着色細胞のあいだで比較検討する。「閾値モデル」については、花色遺伝子の転写量を制御する転写因子が係る可能性があるので、これまでに得られている転写因子の発現量を解析して着色との関連を検討する。 アサガオのゲノム情報整備は、転写産物の配列情報を整備し、RNAi経路に係る遺伝子を同定する。同定した遺伝子はRT-PCR法などにより発現様式を解析する。花弁細胞の着色に応じて変化する遺伝子があれば、模様形成に直接的にかかわる可能性があるので、詳細に発現様式を検討する。さらに、模様の違いを支配する遺伝子座のマップベースドクローニングに向けて、F2植物を展開して、表現型の観察やゲノムDNAの抽出を行う。また、より多くの分子マーカーが利用できる別の交配系統も作成するほか、標準系統のゲノムDNAを用いたBACライブラリーも作成する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度中にマップベースドクローニングに必要なBACライブラリーを作成する予定であったが、年度途中に作成を受託する機関の存在を知った。自ら作成するよりも良質のライブラリーが短期間に作成できるので作成を依頼したが、能力を上回る作成依頼があったために、平成25年度に作成することになった。そのため、その作成や解析に必要な経費を平成25年度に使用することにした。
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