2013 Fiscal Year Research-status Report
高等植物の多様なRNAサイレンシング経路の制御機構
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24570062
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Research Institution | National Institute for Basic Biology |
Principal Investigator |
星野 敦 基礎生物学研究所, 多様性生物学研究室, 助教 (80312205)
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Keywords | RNAサイレンシング / 遺伝子発現調節 / small RNA / 植物 / 花 / アサガオ |
Research Abstract |
高等植物におけるRNAサイレンシングと遺伝子発現の制御機構の解明を目的として、低分子RNAによる花色遺伝子の発現抑制が関与するアサガオの模様形成機構を解析した。 模様形成に必要な遺伝子をマップドベースクローニングするために、その遺伝解析を行った。吹雪模様の系統と模様を持たない標準系統を交配し、その第2世代(F2)を栽培して表現型を観察した。その結果、メンデル遺伝する1遺伝子領域により、吹雪、車絞(覆輪)、無地の3種の表現型が支配されていることを強く示唆する結果を得た。また、吹雪模様の系統とは遠縁にあたり、マップベースドクローニングに必要な遺伝的多型が多い標準系統との交配系統も作成した。 一方、マップドベースクローニングに必要なアサガオのゲノム情報の整備と、アサガオの精密な遺伝地図の作成を、新学術領域「ゲノム支援」の支援により進めた。ゲノム情報の整備は、次世代シークエンサー(NGS)によるショットガンシークエンス法により行った。各種サイズのゲノム断片をNGSで解析し、得られたゲノムの断片配列をつなぎあわせる計算機処理を進めた。ゲノムDNAの抽出法を見直すことなどにより、計算結果が飛躍的に改善した。遺伝地図の作成は、標準系統とアフリカ系統を交配して得たF2集団を材料とした。F2集団の各個体について、RAD-seq(Restriction Site Associated DNA Sequence)を行い、遺伝地図の作製に必要な多型マーカー(RADマーカー)を大量に検出することができた。これらのRADマーカーをもとに、400のマーカーがアサガオの染色体数である15の連関群に収束した遺伝地図を作ることができた。 さらに、標準系統のゲノムDNAを用いたBACライブラリーを作成することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
模様の違いを支配する遺伝子座のマップドベースクローニングに向けた遺伝的解析、ゲノム情報の整備、BACライブラリーの作成などが進んだため。
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Strategy for Future Research Activity |
吹雪模様の系統と模様を持たない標準系統を交配して得た、F2植物からはゲノムDNAを抽出している。これを材料にして表現型に連鎖している遺伝子を探索する。これまでに配列を得ているRNAi経路に係る遺伝子や、花色に関わる遺伝子が連鎖する可能性を検討する。また、着色細胞と非着色細胞を分けてサンプリングすることで、それぞれからRNAを抽出しており、連鎖が確認された遺伝子の発現を調べたり、発現量の差に基づいて模様を支配する遺伝子を探索したりする。 また、ゲノム情報の整備とアサガオの遺伝地図の作成も進める。ゲノム情報については、つなぎ合わされたゲノム配列の断片が一定の水準以上(コンティグ10kb、スキャフォールド100kb)になることを目標に計算機処理を行う。遺伝地図については、400のマーカーが座乗する予備的なものが作成できているが、より多数のマーカー数を含む詳細な遺伝地図の作成を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次世代シークエンサーの受託解析の必要性が生じ、受託業者のスケジュールから次年度に依頼することになったため。 模様に関わるRNAi経路の特定のため、次世代シークエンサーによる解析を行う。
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