2012 Fiscal Year Research-status Report
アブシジン酸の組織間輸送に関わるトランスポーターの探索と解析
Project/Area Number |
24570063
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
黒森 崇 独立行政法人理化学研究所, 機能開発研究グループ, 上級研究員 (80332295)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | ABCトランスポーター |
Research Abstract |
植物ホルモンのアブシジン酸(ABA)は、植物体内の維管束領域で合成され、表皮にある孔辺細胞に作用して気孔閉鎖を起こします。しかし、細胞間や組織間におけるABAの伝達機構やその輸送因子はほとんど分かっていません。最近、私たちはABCトランスポーターに分類されるAtABCG25が維管束におけるABA輸送体の一つであり、一方で、同じ遺伝子ファミリーに属するAtABCG22が孔辺細胞の気孔制御因子であることを報告しました。本研究では、ABA輸送に関わるトランスポーターの探索と機能解析、さらに維管束と孔辺細胞の間でのアブシジン酸輸送機構の解明を目指しております。 本年度は、シロイヌナズナのABCトランスポーターGサブファミリーの中で、アミノ酸配列による系統樹上でAtABCG25に近いAtABCG9, AtABCG14, AtABCG21について、植物体における発現様式の解析と細胞内におけるタンパク質の局在性解析を行いました。 各遺伝子のプロモーター領域をクローニングし、GUSレポーター遺伝子と融合し、形質転換植物を作出しました。GUS発現解析の結果、AtABCG14とAtABCG21はAtABCG25と同様に主に維管束組織で発現していました。また、AtABCG21に関しては、維管束組織に加えて、孔辺細胞でも発現が見られました。さらに、AtABCG21はABAや乾燥ストレス下で発現が強くなることが分かりました。一方でAtABCG9に関しては花芽部分にのみ発現し、発現の組織特異性が他の遺伝子と異なることが分かりました。 次に、各遺伝子領域とGFPタンパク質を融合したベクターを作製し、タンパク質の細胞内局在を解析しました。プロトプラストでの一過的発現系、および形質転換植物の観察において、AtABCG9、AtABCG14、AtABCG21はABCG25と同様に細胞膜に局在することが分かりました。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画した研究内容を行っているため。
|
Strategy for Future Research Activity |
注目しているファミリー遺伝子の発現解析に加えて、変異体の解析を行っていきます。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
備品購入時の機種の選定や消耗品購入時の品目の選別を行うことにより次年度使用額を得ることができました。次年度は実験植物の育成に必要な消耗品や変異体植物の解析に必要な試薬を購入する予定です。
|
Research Products
(4 results)