2013 Fiscal Year Research-status Report
生殖細胞が消失する突然変異メダカの組織学的解析とその原因遺伝子同定
Project/Area Number |
24570066
|
Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
松田 勝 宇都宮大学, バイオサイエンス教育研究センター, 教授 (20414013)
|
Keywords | 生殖細胞 / 性分化 / メダカ |
Research Abstract |
生殖細胞は、精子もしくは卵に分化する細胞で、唯一次世代にDNAを受け継ぐ細胞である。一方で、生殖細胞は、生殖腺の体細胞と綿密に連携して、未分化生殖腺が精巣もしくは卵巣へと発生する過程においても重要な働きをしていることが明らかとなってきている。本研究では、発生過程で生殖細胞の消失する変異体の表現型(いつからどのように生殖細胞が消失するのか)を解析すると共に、ポジショナルクローニング法による原因遺伝子の単離・同定を試みている。この変異体の生殖細胞消失機構を明らかにすることで、「生殖細胞の維持機構」の一端を解明できることを期待している。 表現型を解析するためには、原因遺伝子周辺の遺伝マーカーを同定しておく方が効率がよい。そこで、本年度は、ヘテロ同士の交配により、遺伝的地図構築の為の子孫を得、メダカゲノム全体をマップする目的に有効なM-Markerを用いて原因遺伝子の連鎖する連鎖群を特定した。その後、公開されているメダカゲノムデータを参考に、原因遺伝子周辺に新たに15のDNAマーカーを設計し、ヘテロ同士の子孫について遺伝子型を特定することで、DNAマーカーの遺伝的地図を構築した。これらの子孫の遺伝子型調査時にはそれぞれの個体を活かしたまま遺伝子型を調査し、必要な個体についてはその後、切片を作成するなどして生殖細胞の有無を観察することで、原因遺伝子周辺の遺伝的地図を作成した。本年度はさらに約500個体の子孫について遺伝子型を解析した結果、原因遺伝子の責任領域を約141kbpまで絞り込むことができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
原因遺伝子近傍のDmrt1に変異が入っており、このホモ接合個体は精巣が形成できないことが発覚したため,Dmrt1と原因遺伝子との間の組換え個体を選抜する必要が生じた。これまでにHd-rR系統とのヘテロ接合体の子孫にはDmrt1と原因遺伝子との組換え個体が得られていたが、本研究では遺伝的地図作成を容易にするためHNIやKaga系統とのヘテロ接合体の子孫より組換え個体を探索していた。しかし、この系統では組換え率が前述の系統に比べて5倍ほど低いことがわかった。
|
Strategy for Future Research Activity |
現在Hd-rR系統とのヘテロ接合体も作出し、こちらの系統からも組換え個体を得るべく飼育中である。この場合,Cab系統とHd-rR系統とのゲノム配列の差を使って遺伝的地図を構築するため系統差の得られる確率は低くなるものの,塩基配列を決定しながら系統差を検出していく計画である。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
消耗品発注タイミングのずれによる 消耗品発注タイミングのずれによる
|
Research Products
(1 results)