2014 Fiscal Year Annual Research Report
褐虫藻とサンゴの細胞共生の成立・維持・破綻に関する微細形態学的研究
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24570071
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
奥田 一雄 高知大学, 教育研究部総合科学系, 教授 (40152417)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | サンゴ / 褐虫藻 / 細胞共生 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究目的はサンゴ・褐虫藻の共生系の成立、維持、破綻における微細形態を明らかにすることである。本年度では、サンゴ・褐虫藻の共生系の成立の過程に注目し、サンゴの初期発生期に自由遊泳する褐虫藻を外部から感染させ、褐虫藻がどのようにサンゴ細胞内に共生するかを調べた。また、季節に依存しないサンゴ・褐虫藻の実験系を開発するため、サンゴの再生組織を誘導し、一例として再生組織を用いた光照射実験を行い、その有効性を検討した。 発生初期に褐虫藻を環境から取り込むクシハダミドリイシを用いた。産卵後3日で受精卵はプラヌラ幼生に発達し、その後3-4日で定着してポリプを形成した。これにクレードが異なる褐虫藻、AP1株(クレードB)、Y109株(クレードA)、A001株(クレードD)を共存させた。褐虫藻はただちにポリプの口に集まって胃腔内に侵入し、翌日にはポリプ組織内で不動化した。褐虫藻との共存後1-3日で、サンゴの幼体を化学固定および加圧凍結固定し、褐虫藻のサンゴ細胞内の共生を確認した。初期発生期のサンゴは自由遊泳する褐虫藻を誘引・獲得し、数日内で細胞共生を成立させることが明らかになった。 ハナヤサイサンゴの枝の断片を数週間以上静置培養することで、ガラス基板上に再生組織を誘導することができた。再生組織にはほぼ一定の密度で褐虫藻が分布した。この再生組織をLEDによる種々の単色光で培養すると、紫色(405 nm)と青色光(470 nm)は組織内の褐虫藻の増殖を促進したのに対し、遠赤色光(735 nm)は組織の顕著な縮退を導いた。暗黒条件および緑色(525 nm)、黄色(570 nm)、赤色(620 nm, 680 nm)の光は褐虫藻とサンゴ組織に影響を及ぼさなかった。サンゴの再生組織はサンゴ・褐虫藻の共生系に及ぼす環境因子を調べるために有効であることが明らかになった。
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Research Products
(2 results)