2016 Fiscal Year Annual Research Report
Social behavior and sex determination in Anemonefish
Project/Area Number |
24570075
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Research Institution | Iwaki Meisei University |
Principal Investigator |
岩田 惠理 いわき明星大学, 科学技術学部, 教授 (70382786)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大久保 範聡 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (10370131)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 社会行動 / 内分泌 / 性分化 |
Outline of Annual Research Achievements |
未成熟なカクレクマノミを3匹一組で飼育を行い、社会順位の形成、性分化の誘導を試みた。性分化は、360日間飼育を行っても誘導することはできなかったが、社会順位は、飼育開始1日以内に形成された。各個体の行動を継時的に観察したところ、社会順位は飼育直後に形成されるものの、まだ不安定であり、順位が安定するのは飼育開始後90日以降であった。 そこで、脳内のノナペプチドであり、魚類の社会行動に関与するとされているアルギニンバソトシン(AVT)、およびイソトシン(IT)について、飼育開始後90日の各個体の産生神経細胞と脳内受容体遺伝子の解析を行った。IT産生神経細胞、およびIT脳内受容体遺伝子には、社会順位による差は認められなかった。一方、AVT産生細胞は社会順位が高い個体ほど数が少なく、大きさも小さい傾向が認められた。AVT受容体遺伝子についても同様で、社会順位の高い個体ほど転写活性が低い傾向が認められた。飼育開始後1日の個体においては、社会順位によるAVT、IT産生神経細胞や受容体遺伝子の転写活性に差がみとめられなかった。以上の事から、カクレクマノミにおいて脳内AVT系は、社会順位が決定される時ではなく、社会順位の維持に何らかの関与をしているものと考えられた。また、社会順位の高い個体において、血漿中コルチゾール濃度と脳内グルココルチコイド受容体遺伝子の転写活性が、社会順位の低い個体に比較して低値であった事から、カクレクマノミにおいても、性分化にはコルチゾールが関与していることが示唆された。
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