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2012 Fiscal Year Research-status Report

消化管上皮の脱分化を制御する幹細胞ニッチ形成機構の解析

Research Project

Project/Area Number 24570078
Research Category

Grant-in-Aid for Scientific Research (C)

Research InstitutionNippon Medical School

Principal Investigator

岡 敦子  日本医科大学, 医学部, 教授 (50175254)

Project Period (FY) 2012-04-01 – 2015-03-31
Keywords小腸 / 幹細胞 / 上皮脱分化 / 甲状腺ホルモン / 変態 / アフリカツメガエル / ニッチ / シグナル伝達経路
Research Abstract

アフリカツメガエルの小腸では、変態期に甲状腺ホルモン(TH)を引き金として幹細胞ニッチが形成され、その影響下で幼生型吸収上皮の一部が幹細胞へと脱分化する。本研究では、これまでに同定されているTH応答遺伝子の機能解析を進めることにより、上皮脱分化機構を分子レベルで解明することを目指している。
本年度は、Wnt5aとその受容体であるRor2に着目し、RT-PCRや免疫組織化学的手法を用いてこれらの遺伝子の発現解析を行った。Wnt5a、Ror2ともに幹細胞の出現と同時に発現が上昇すること、特にRor2は、変態前には吸収上皮内に散在的に発現するが、変態に伴い幹細胞特異的に発現するようになること等を見出した。これらの結果は、Wnt5a/Ror2シグナル経路が幹細胞の出現に重要な役割を担っていることを示唆している。そこで、申請者がこれまでに確立した小腸の培養アッセイ系を用いて、この経路が上皮の脱分化に及ぼす作用を実験的に検証した。TH非存在下でWnt5aタンパク質を、TH存在下で抗Wnt5a機能阻害抗体を培養液に添加することにより、Wnt5a/Ror2経路の活性化が上皮脱分化過程で起こる細胞極性の変化に必須であることを示す結果を得つつある。また、Ror2の発現を手掛かりに幹細胞の発生学的起源を追究していくため、Ror2プロモーターの単離にも着手した。
この他に、幹細胞の出現時期にはHes関連遺伝子であるhairy-1も幹細胞特異的に強発現することを観察し、上皮の脱分化にはNotch経路も関与することを示唆する知見を得た。幹細胞への脱分化には、複数のシグナル経路間でのクロストークを含む複雑な機構が存在すると考えられる。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本年度研究計画の中心的課題であるWnt5a/Ror2経路に関わる遺伝子の発現解析、および小腸の培養アッセイ系を用いた機能解析を行い、ほぼ予想通りの結果を得ることができた。現在は実験データのまとめの段階に入っている。
Ror2のプロモーターの単離には、当初の予想よりもプロモーター領域が長いため多少時間がかかっているが、研究は全体として順調に進んでいる。

Strategy for Future Research Activity

当初の計画通り、今後は、幹細胞出現時に頻繁に起こる上皮・結合組織間のcell contactの役割に焦点をあてて幹細胞制御の研究を進める。
まずは、これまでに同定されている甲状腺ホルモン応答遺伝子のうち、遺伝子産物が細胞膜に存在することが知られているNotchおよびそのリガンド、transient receptor potentialチャネル等の遺伝子に着目する。これらの遺伝子の発現をRT-PCR、in situ hybridizationおよび免疫組織化学により解析し、各遺伝子の発現パターンと幹細胞出現との時間・空間的関連などについて調べる。これらの遺伝子のうち、上皮・結合組織間のcell contact部位で発現することが明らかになった遺伝子については、順次、ツメガエル小腸の培養アッセイ系を用いた機能解析を開始する。当該遺伝子産物の活性化物質や阻害物質などを培養液に添加することにより、その機能をTH非存在下で促進、またはTH存在下で抑制し、当該遺伝子が組織間のcell contactや幼生型上皮の脱分化に及ぼす作用を検証する。
また、Ror2の発現を手掛かりに幹細胞の起源を追究するため、単離予定のRor2プロモーターを使ってCre-loxPを導入トランスジェニックカエル(Tg)の作製に着手する。予備実験としてRor2プロモーターの発現特異性をin vivoで確認した後、薬剤を加えた時にのみRor2発現細胞特異的にCreが活性化され、蛍光タンパク質DsRedが発現するようなDNAコンストラクトを設計する。このコンストラストを用いてTgカエルを作製し、Ror2発現細胞の系譜を追跡する。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

研究費は、RT-PCRや免疫組織化学、培養実験を行うための試薬、抗体、器具類等、すべて研究続行に必要な消耗品に用いる。

  • Research Products

    (4 results)

All 2013 Other

All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 2 results) Presentation (2 results) (of which Invited: 1 results)

  • [Journal Article] Tissue-specific upregulation of MDS/EVI gene transcripts in the intestine by thyroid hormone during Xenopus metamorphosis2013

    • Author(s)
      Miller TC, Sun G, Hasebe T, Fu L, Heimeier RA, Das B, Ishizuya-Oka A, Shi Y-B
    • Journal Title

      PLoS One

      Volume: 8 Pages: e55585

    • DOI

      10.1371/journal.pone.0055585

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] Establishment of intestinal stem cell niche during amphibian metamorphosis2013

    • Author(s)
      Ishizuya-Oka A, Hasebe T
    • Journal Title

      Current Topics in Developmental Biology

      Volume: 103 Pages: 305-327

    • DOI

      10.1016/B978-0-12-385979-2.00011-3

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] トランスジェニックカエルは2度輝く:変態期の消化管上皮幹細胞の起源と発生のメカニズム

    • Author(s)
      長谷部孝、岡敦子
    • Organizer
      第83回日本動物学会大会
    • Place of Presentation
      大阪大学(大阪)
    • Invited
  • [Presentation] アフリカツメガエル変態期の消化管再構築におけるhairy-1およびhairy-2bの発現解析

    • Author(s)
      長谷部孝、梶田満子、岡敦子
    • Organizer
      第83回日本動物学会大会
    • Place of Presentation
      大阪大学(大阪)

URL: 

Published: 2014-07-24  

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