2012 Fiscal Year Research-status Report
酵素の局在と機能特化:テトラヒメナ繊毛膜に局在するAK酵素をモデルとして
Project/Area Number |
24570087
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
鈴木 知彦 高知大学, 教育研究部自然科学系, 教授 (60145109)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 酵素機能 / 酵素の局在 / ミリストイル化 / アルギニンキナーゼ |
Research Abstract |
テトラヒメナには単量体のAK(AK1)と2ドメイン型のAK(AK2)の両方が存在しており,繊毛運動のエネルギー供給に関与している.また,AK1は主に繊毛に,AK2は細胞質や細胞膜に局在することが分かっている.AK1はN末端にミリストイル化シグナル配列を持つことから,ミリストイル化されている可能性が高い.ミリストイル化を触媒する酵素がミリストイルトランスフェラーゼ(NMT)であり,我々はテトラヒメナでもその存在を確認した. テトラヒメナのNMTのmRNA配列を決定した.このNMTを大腸菌内で発現させるために,NMTのDNA配列を全合成した(N末にHis Tagを付加).リコンビナント酵素は大腸菌BL-21(DE3)内で可溶化し, His Tagカラムを用いて目的タンパク質(49 kDa)を精製することができた.このNMTの酵素活性を,既報の反応系(Boisson et al . , 2003)を基に,反応に関わる2基質の内ミリストイルCoAの濃度を一定に保ち,もう一方の基質(テトラヒメナAK1のN末端の7アミノ酸からなるペプチド)の濃度を変動させて測定した.その結果,NMTの反応はミカエリスメンテン式に従い,ペプチドに対する見かけのKmを求めることができた.これらは,テトラヒメナAK1のN末が試験管内でミリストイル化され得ることを証明するものであり,細胞内でのミリストイル化も強く示唆する. 次に,昆虫細胞由来の無細胞タンパク質合成系を用いて,ミリストイル化されたAK1を直接合成することを試みた.修飾されたAK1を,SDS-PAGEで分離後,トリプシン消化されたN末ペプチドがミリストイル化されていることをマス・スペクトル解析で証明する予定である.現時点では,無細胞系で合成されたAK1がわずかであるため分析には至っていないが,今後合成条件を検討する予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の計画の中核を占めるテトラヒメナのNミリストイルトランスフェラーゼ遺伝子の単離に成功し,大腸菌内でそのリコンビナント酵素の発現に成功する等,大きな進展が得られた.このリコンビナント酵素は,AK1のN末ペプチドに対して明瞭な酵素活性を示したことから,今後,AK1のミリストイル化を軸にした酵素/タンパク質の局在化の研究が大きく進展すると期待される.
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Strategy for Future Research Activity |
昆虫細胞由来の無細胞タンパク質合成系を用いて,ミリストイル化されたAK1を直接合成することを試みたが,現時点では,無細胞系で合成されたAK1が少量であるため,ミリストイル化を直接実証するには至っていない.今後,合成系に加えるAK1のmRNAの量を増やす等をはじめとして,合成の諸条件を検討していく予定である. また,テトラヒメナのNミリストイルトランスフェラーゼが酵素活性を持つことを確かめたので,この酵素の反応メカニズムを明らかにするとともに酵素パラメータを決定する予定である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
経費のほとんどは,昆虫細胞由来の無細胞タンパク質合成系,及びNミリストイルトランスフェラーゼの酵素活性に必要な消耗品類である. 無細胞タンパク質合成系で必要十分量のミリストイル化されたAK1が合成されれば,マススペクトルによる分析を外注する予定である. その他,研究遂行に必要な謝金(大学院生による研究補助)や学会での発表旅費が必要となる.
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