2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24570090
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Ashiya University |
Principal Investigator |
渡 康彦 芦屋大学, 教育学部, 教授 (80240539)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 一裕 宮城学院女子大学, 学芸学部, 教授 (00316415)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | タマネギバエ / 羽化 / 温度較差 / 概日時計 |
Research Abstract |
タマネギバエは土中のさまざまな深さで蛹になり、地温の変化をもとに早朝に羽化する。土中では深くなるほど温度変化の位相は遅れ、地温の日較差も小さくなるので、タマネギバエは温度の日較差が小さいほど羽化時刻を早めることで、土深に伴う温度変化の遅れを補正している。まず1~20℃の較差を持つ矩形波および正弦波状の温度サイクル(平均25℃)の下でタマネギバエの羽化時刻を記録した。矩形波状サイクルでは、較差を1℃から12℃まで変えるとそれに伴って羽化時刻は遅れた。12℃較差と16℃較差では差はほとんどなく、20℃較差では羽化は起こらなかった。1℃較差と12℃較差の羽化時刻の差は5.9時間だった。正弦波状サイクルでは、較差を1℃から20℃まで変えるとそれに伴って羽化時刻は遅れた。羽化時刻の変化は較差が2℃から6℃の範囲で顕著であり、8℃以上でゆるやかであった。1℃較差と20℃較差の羽化時刻の差は6.6時間だった。このように、温度較差に対する羽化時刻設定は量的な反応を示した。 最近になって背景の光の有無が温度周期の効果に影響することが明らかになってきた。蛹を異なる光条件(全暗あるいは全明)および温度周期(平均25℃、8℃あるいは1℃較差)の組み合わせのもとに置いたとき、温度周期は全暗でも全明でも明瞭は羽化リズムを誘導した。しかし、羽化時刻は全明よりも全暗で、大きな温度較差よりも小さな較差で早くなった。また、羽化のばらつきは、全暗よりも全明で、大きな較差よりも小さな較差で大きくなった。後者については、光条件や温度較差が羽化時計と温度周期のカップリングの強さに影響する可能性が示唆された。蛹の一部を一定温度条件に移して羽化の様子をみたところ、リズムの減衰は小さな温度較差よりも全明において顕著であった。背景の光条件が時計と温度周期のカプリングに及ぼす影響は温度較差よりも有意に大きいことが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は以下の4つである。 ① タマネギバエの羽化リズムの位相決定における温度レベルと温度較差の相対的重要性を明らかにする。② 温度較差が時計遺伝子の発現に及ぼす影響を明らかにする。③ タマネギバエの羽化時計における2振動体モデルの検証を行う。④ 温度較差を測定する時刻補正機構を行う部位を明らかにする。 以上の研究目的のうち、①から③の研究を24年度に推進する計画であった。①に関しては研究実績の概要で示した通りである。②に関しては現在進行中であり、25年度には成果が出る予定である。③に関しては、購入予定であったNKsystem低温恒温器の搬入が、日本医科器械のタイ工場の洪水による浸水によって部品納入ができず、大幅に遅れ25年3月になってしまった。そのために予定していた実験を行うことができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の目的である、「① タマネギバエの羽化リズムの位相決定における温度レベルと温度較差の相対的重要性を明らかにする。② 温度較差が時計遺伝子の発現に及ぼす影響を明らかにする。③ タマネギバエの羽化時計における2振動体モデルの検証を行う。④ 温度較差を測定する時刻補正機構を行う部位を明らかにする。」の①と②を継続して行い、同時に③と④の研究も行っていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(7 results)