2013 Fiscal Year Research-status Report
非学習形質であるフクロウ類の鳴き声の地理的分布は遺伝構造を反映するか?
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24570107
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
高木 昌興 大阪市立大学, 大学院理学研究科, 准教授 (70311917)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齋藤 武馬 公益財団法人山階鳥類研究所, 自然誌研究室, 研究員 (40521761)
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Keywords | 生物地理学 / 系等地理学 / 種分化 / リュウキュウノコハズク / 分断分布 / 分散 / mtDNA-CO1領域 / 慶良間海峡 |
Research Abstract |
琉球列島のケラマ海裂とトカラ構造海峡で挟まれた島々は中琉球と呼ばれる。更新世前期にはすでに隔離されていたと推察され、非飛翔性の陸生脊椎動物の約80%がこの地域の固有種である。鳥類にもヤンバルクイナなどの固有種が認められ、ケラマ海裂は鳥類の分布境界、蜂須賀線として注目された。しかし在来種に占める固有種の割合は約10%に過ぎず、固有の10亜種も産するが、南・北琉球とそれぞれ約10亜種が共通しており遺伝的交流が推察される。本年度も、2012年と同様にリュウキュウコノハズクOtus elegansの繁殖期である5-7月に野外調査によりサンプリングを行った。形態計測値、鳴き声、遺伝解析により移動分散の障壁としてのケラマ海裂の持つ意義について検討した。北琉球(中之島)、中琉球(奄美大島、徳之島、伊平屋島、伊是名島、沖縄島、座間味島、久米島)、南琉球(宮古島、石垣島、西表島、与那国島、波照間島)、および南大東島で、捕獲計測・採血、鳴き声の録音を行なった。外部形態、声紋、mtDNA-CO1領域の解析で北・中琉球は区分できなかった。南大東島個体群は完全に独立した。中琉球の大島嶼である奄美大島、徳之島、沖縄島と南琉球の島々の比較では、沖縄島に比較的大きな変異を認めたが、明瞭に区分された。北中と南琉球の遺伝距離は種レベルの違いといえる3%を示した。沖縄島の西側の伊平屋島、伊是名島、座間味島、久米島の個体群の形態と声紋は、中琉球に位置するにも関わらず南琉球の特徴を持っていた。これらの小島嶼の個体群は南琉球のハプロタイプを持っており、その矛盾は遺伝的に裏付けられた。ケラマ海裂は地史的時間スケールでリュウキュウコノハズクの祖先種を分断し、種レベルの変異を蓄積させた。中琉球の小島嶼には生態学的時間スケールで移入が生じていると推察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定したデータ収集がほぼ終了した。形態計測値の解析、鳴き声の解析も終了した。遺伝解析については種レベルの差異を検出するmtDNA-COI領域は完了したが、個体群間の移動の程度を確認するには至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
想定外の結果となった地域がある。5-7月に野外調査を実施し、サンプルを補充することが必要である。野外調査は、沖縄島と座間味島で行なう。また解析遺伝子に多様性を持たせる必要がある。7月までのサンプルを含め、10月を目処に遺伝解析他の解析を終了させる。年度内に論文を執筆投稿する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当該年度末に予定していた野外調査が中止になったため。 野外調査の旅費と学会発表のために使用する予定である。
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