2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24570108
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
秋山 弘之 兵庫県立大学, 自然・環境科学研究所, 准教授 (70211696)
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Keywords | 蘚苔類 / 隔離分布 / DNA / 着生 |
Research Abstract |
本研究は,従来広域分布するとされている蘚苔類について,広域に一面に分布する種群,隔離分布する種群,繁殖様式の異なる複数の種群について,その地理的分布域内における集団間分化の様相を明らかにすることで,陸上植物の中でも分散力に富む蘚苔類における分布様式と種分化の様相について解明することを目的とするものである.さらに,様々な要素が関与して成立したと考えられる日本西南部の蘚苔類相についても,種多様性が東アジア・東南アジアの蘚苔類相とどのような関わりをもつかを明らかにする.この観点から,各地に隔離的に分布する稀少種であるシダレウニゴケならびにコモチイトゴケ亜科(蘚類)を対象として研究を行い,以下のような成果を上げている. (1)シダレウニゴケ:国内8集団についてサンプルを収集し,形態的特徴の観察ならびに遺伝子の塩基配列(葉緑体DNAからrbcL, rps4, trnL-Fの各遺伝子座,ミトコンドリアDNAからnad5)について解析をおこなった.比較のため同属他種についても1~2集団ずつ同様の解析をおこなった.その結果,日本の集団は単一にはまとまらないこと,北限となる秩父地方石灰岩で見つかった集団は単一のクレードをつくり,種内分類群レベルで識別可能なことが判明した.また形態から類縁性が指摘されていた中米だけに分布するSymphyodoon imbricatifoliusとは特に近い関係にはないことがわかり,形態の類似は偶発的なものであることが示唆された. (2)コモチイトゴケ群については,特にタマコモチイトゴケ,ナガスジコモチイトゴケさらにヤクシマコモチイトゴケの3種について重点的なサンプリングを行い,これらについては葉緑体DNA(rbcL, rps4, trnL-F),ミトコンドリアDNA(nad5),さらに核DNA(ITS)について解析を行っている.Clastobryopsis属は中米に分布するAptychella属の異名になることが強く示唆され,これについては現在報告を作成中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた野外調査ならびに遺伝子の解析は,順調に進んでいる. 現地に赴いても対象となる植物を発見できずに終わることもあり,そのため当初の予定よりは解析できた集団は少なくなっており,この点を改善することが必要である.
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Strategy for Future Research Activity |
シダレウニゴケの解析において,国内に予想を超える変異が確認された.母系遺伝する遺伝子だけでは解析が足りないため,今後は核DNAのITSも対象として解析を進める.また国外の集団も複数解析対象としたい.現在確実にサンプルの採れる場所についての情報を集めている. コモチイトゴケ亜科についても同様に,解析する集団の数を増やす.この群では既知のプライマーではITS領域がうまく増えないことが判明したため,あらたに設計したプライマーによる解析を行う.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究開始初年度に予算を使う時間的余裕がなく,次年度(今年)にずれこんでしまった. 今年は順調に計画を実行できたが,それでも完全に遅れを取り戻すにはいたらなかった. 次年度は,国内・国外の野外調査を計画しており,すでに集めたサンプルならびに次年度予定しているサンプルの解析を行う予定である.また解析の対象とする遺伝子座を増やすため,これらによって予定している予算を使い切ることになる.
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Research Products
(5 results)