2013 Fiscal Year Research-status Report
染色体の形態や核型が大きく異なるハマボッスのゲノム再編はどのようにしておきたのか
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24570111
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Research Institution | University of Kochi |
Principal Investigator |
荻沼 一男 高知県立大学, 生活科学部, 教授 (30106794)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
星 良和 東海大学, 農学部, 准教授 (70332088)
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Keywords | ハマボッス / 染色体多型 / サイトタイプ / FISH解析 / ゲノム再編 |
Research Abstract |
研究代表者荻沼および研究協力者河野は、平成25年5月に沖縄県石垣島および与那国島、平成25年12月に石垣島、平成26年1月に台湾北部海岸でサンプリングを行った。サンプリング後、高知県立大学へ持ち帰ったハマボッスを鉢植えにし、採根し、検鏡して核型のチェックを行った。核型が決定した個体は、生きた状態で、研究分担者星へ送付した。 染色体の基本構造を特定するため、日本に属する南西諸島産18サイトタイプの内、主な9サイトタイプ:20 (4m)の3サイトタイプ, 18 (6m), 18 (4m), 16 (8m)の2サイトタイプ, 16 (6m)の2サイトタイプ、に対して、telomere、5Sおよび45S rDNAをプローブとして、FISH法を用いた解析を行った。この結果は、国際染色体植物学会第8回大会(広島市、平成25年11月24日)にて口頭発表を行った。また、この結果は、平成26年度中に論文として公表する予定である。 南西諸島の宝島産ハマボッスの染色体多型の地理分布、および染色体多型の動態について、論文として公表した。宝島には、11サイトタイプが自生しており、1採集地内のサイトタイプ数やその割合は年度ごとに変異していることを明らかにした。 一方、研究分担者星は、台湾、石垣島、与那国島および日本本土から採集した個体からDNAを抽出した。そして、新規のマイクロサテライトマーカーの開発を引き続き行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
南西諸島でみられる多くのサイトタイプの核型の比較解析から、ハマボッスの染色体多型は単純な端部動原体型染色体(t-染色体)の融合、中部動原体型染色体 (m-染色体)の切断だけでは説明できないサイトタイプが存在することが判っていた。その問題を解明するために、南西諸島でみられる18サイトタイプ中、偶数の染色体数を持つ、主な9サイトタイプ:20 (4m)の3サイトタイプ, 18 (6m), 18 (4m), 16 (8m)の2サイトタイプ, 16 (6m)の2サイトタイプ、に対して、telomere、5Sおよび45S rDNAをプローブとしてFISH(Fluorescence in situ hybridization)法にて解析を行った。 その結果、ハマボッスの染色体多型は、端部動原体型染色体(t-染色体)の融合、中部動原体型染色体 (m-染色体)の切断に加えて、染色体欠失、含動原体型逆位、相互転座などから起因していることが明らかになった。この結果は、国際染色体植物学会第8回大会(広島市、平成25年11月24日)にて口頭発表を行った。また、この結果は、平成26年度中に論文として公表する予定である。 一方、研究分担者星は、台湾、石垣島、与那国島および日本本土から採集した個体からDNAを抽出した。そして、新規のマイクロサテライトマーカーの開発を引き続き行い、染色体多型に関与するDNA配列を特定する研究を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、random amplified polymorphic DNA (RAPID)プライマーから得られた反復DNAおよび縦列型反復配列 (short tandem repeat: STR)や単純反復配列 (simple sequence repeat:SSR)などのマイクロサテライトDNAを用いて、核型変異に関与するDNA配列を特定する研究を行う。この結果とFISH解析から、ハマボッスの染色体多型におけるゲノム再編の機構を明らかにする。 ハマボッスの越年草であるため(2年目の春までには開花して枯死する)、引き続きハマボッスの採集を行なう必要がある。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究代表者荻沼の支出はハマボッスの採集と謝金が主であった。次年度使用額の36,424円では、採集も充分には行うことは困難であるし、謝金としても不十分であったので、残金とした。 平成26年度の交付金は2年前、前年と比べて少額となるため、平成26年度は、次年度使用額36,424円を加えて、より有効な研究を行うためである。 次年度使用額は、採集あるいは論文作成、学会発表の一助に使用する予定である。
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Research Products
(2 results)