2013 Fiscal Year Research-status Report
藻類におけるカロテノイドを用いた化学分類と系統分類
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24570115
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
高市 眞一 日本医科大学, 医学部, 准教授 (40150734)
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Keywords | カロテノイド / α-カロテン / 藻類 / 紅藻 / 灰色植物門 / クリプト植物門 / 化学分類 / 系統分類 |
Research Abstract |
シアノバクテリアが一次共生したと考えられている紅色植物門は、最近の系統分類ではイデユコゴメ亜門と紅藻亜門に分けられ、紅藻亜門はさらにチノリモ綱、オオイシソウ綱、ベニミドロ綱、ロデラ藻綱、ウシケノリ綱、真正紅藻綱の6綱に分けられている。 単細胞性のイデユコゴメ亜門(イデユコゴメ綱)、チノリモ綱、ベニミドロ綱、ロデラ藻綱はβ-カロテンとゼアキサンチンのみを、オオイシソウ綱はこれらに加えてアンテラキサンチンをもっていた。一方、多細胞性のウシケノリ綱、真正紅藻綱は主成分のルテインに加えてα-カロテンとβ-カロテンとゼアキサンチンをもっていた。ただし、真正紅藻綱のサンゴモ目とオゴノリ目の一部の種はルテイン類をもたずにアンテラキサンチンをもっていた。 単細胞性の4綱ではリコペンがリコペン-β-シクラーゼによりβ-カロテンに、次いでβ-ヒドロキシラーゼによりゼアキサンチンに変化し、オオイシソウ綱ではさらにゼアキサンチン・エポキシダーゼによりアンテラキサンチンに変化すると考えられる。一方、多細胞性の2綱では上記に加えてさらに存在するリコペン-ε-シクラーゼによりリコペンからα-カロテンができ、ε-ヒドロキシラーゼによりルテインができると考えられる。系統分類と生合成酵素・経路について検討をしている。 近縁の灰色植物門はβ-カロテンとゼアキサンチンのみを、クリプト植物門はさらに三重結合を含むアロキサンチンなどを含むので、アセチレン合成酵素を持つが起源は不明である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
実験室のある基礎科学の建物が川崎市小杉町から武蔵野市境南町に3月に移転をした。引越のための荷造りや再設置に費やす時間を極力減らし、研究に割ける時間を確保しようと努力したが、移動すべき装置・設備や薬品・器具類が予想以上に多量にあり、1月から5月は実験をほとんどできない状態に陥った。そのために実験計画が予定より遅れてしまった。ただしその間に紅藻類のカロテノイド分布の原稿をまとめており、また共同研究者と今後の分析などの相談をしている。 研究の内容は「研究実績」に書いたように、紅藻植物門を中心にカロテノイドとクロロフィルを分析し、綱レベルでの系統分類と含有カロテノイドを基にした化学分類との関係がほぼ判明しつつある。また関連した共同研究を含めていくつかの論文と多数の学会発表をすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
紅藻植物門におけるα-カロテン・ルテインとアンテラキサンチンの分布を調べるために、系統分類と比較しながら分析例を増やす。単細胞性の4綱は代表的な種を既に分析したのでβ-カロテンとゼアキサンチンのみの存在は間違いないと思われる。多細胞性の1綱(オオイシソウ藻綱)と真正紅藻綱の中の2亜綱(サンゴモ亜科、マサゴシバリ亜科オゴノリ目)はさらにアンテラキサンチンをもっていた。特にマサゴシバリ亜科オゴノリ目におけるアンテラキサンチンの存在は系統分類と一致しない面もあるので、オゴノリ目と近縁目における分析種を増やすと共に、系統分類についても精査を試みる。多細胞性の1綱(ウシケノリ藻綱)と真正紅藻綱の大部分はα-カロテンとルテインも持っていることを確認する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実験室のある基礎科学の建物が川崎市小杉町から武蔵野市境南町に3月に移転をした。引越のための荷造りや再設置に費やす時間を極力減らし、研究に割ける時間を確保しようと努力したが、移動すべき装置・設備や薬品・器具類が予想以上に多量にあり、1月から5月は実験をほとんどできない状態に陥った。 移転に伴い20年以上使用していた学内共同利用の質量分析機を廃棄せざるをえなかったが、京都の(財)生産開発科学研究所にいる共同研究者が最近購入したLC-MSを借りることができそうである。ただし分離・分析条件を検討する必要があり、何度か京都へ行く必要が生じた。 移転に伴う実験の遅延を取り戻すように実験計画を練り直し、また科学研究費補助金の最終年度であるからどの様にまとめるか再検討をする。さらに今後この研究をどの様に発展させるかも共同研究者とのディスカッションの中から検討をしたい。 消耗品として藻類株の購入、HPLCカラムと関連消耗品、有機溶媒、薬品、ガラス器具などを予定している。
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Research Products
(20 results)
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[Journal Article] Identification of carotenoids from the extremely halophilic archaeon Haloarcula japonica2014
Author(s)
Yatsunami R,Ando A, Yang Y, Takaichi S, Kohno M, Matsumura Y, Ikeda H, Fukui T, Nakasone K, Fujita N, Sekine M, Takashina T, Nakamura S
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Journal Title
Frontiers Microbiol: Extreme Microbiol
Volume: 5
Pages: e100
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] The tillering phenotype of the rice plastid terminal oxidase (PTOX) loss-of-function mutant is associated with strigolactone deficiency2014
Author(s)
Tamiru M, Abe A, Utsushi H, Yoshida K, Takagi H, Fujisaki K, Undan J, Rakshit S, Takaichi S, Jikumaru Y, Yokota T, Terry MJ, Terauchi R
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Journal Title
New Phytologist
Volume: 204
Pages: 116-131
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Functional implication of β-carotene hydroxylase in soybean nodulation2013
Author(s)
Kim Y, Kim S, Um J, Kim K, Choi S, Um B, Kang S, Kim J, Takaichi S, Song S, Lee C, Kim H, Kim KW, Nam KH, Lee S, Kim Y, Park H, Ha S, Verma DPS, Cheon C
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Journal Title
Plant Physiol
Volume: 162
Pages: 1420-1433
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] Characterization of crtI homologs and antioxidant capacity of carotenoids from extremely halophilic archaeon Haloarcula japonica2013
Author(s)
Yatsunami R, Ando A, Yang Y, Takaichi S, Kohno M, Matsubara Y, Fukui T, Nakasone K, Fujita N, Sekine M, Takashina T, Nakamura S
Organizer
2013 Halophiles Conference
Place of Presentation
Storrs, USA
Year and Date
20130623-20130627
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