2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24570125
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
米沢 直人 千葉大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (80212314)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柳田 光昭 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (80365569)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 糖タンパク質 / 受精 / 細胞外マトリクス / 透明帯 |
Research Abstract |
哺乳類卵子透明帯は,3ないし4種類の糖タンパク質からなるマトリクスで,受精の時に精子と種選択的に結合する。少なくともin vitro受精においてこの結合は必須である。本研究対象であるブタおよびウシについては,糖鎖が結合に必須であるもののタンパク質骨格による足場がないとその活性が発現しない,と我々は考えている。 (目的1)ウシZP3およびZP4の種々の変異タンパク質をバキュロウイルス-Sf9細胞発現系を用いて作製した。すべてのO結合型糖鎖付加部位をAlaに変異させO結合型糖鎖が消失したことを確かめたが,この変異はZP3とZP4との間の相互作用ならびにZP3/ZP4複合体の精子結合能にはほとんど影響を与えなかった。ZP4のN結合型糖鎖を欠失させた場合もZP3/ZP4複合体の精子結合能にはほとんど影響がなかった。平成23年度までの結果を考え合わせ,ウシZP3/ZP4複合体ではZP3ヒンジ領域のN結合型糖鎖が主な精子結合部位であると考えられた。この領域にZP4相互作用部位の少なくとも一部分が存在することもわかった。しかし,精子結合能を示すにはZP3ヒンジ領域だけでは不十分であり,ZP3ヒンジ領域にN末端側のサブドメインが連結されていることが必要であることがわかった。 (目的2)糖脂質アナログを用いて精子の糖結合特異性を比較した。ブタではβ-ガラクトース残基,ウシではα-マンノース残基への結合能が最も高く,各透明帯の中性N結合型糖鎖の非還元末端糖残基と一致した。ブタ精子は先体反応後,結合特異性がα-マンノース残基に変化したがこの生理的意味は不明である。この結果から糖結合特異性の異なるレクチン様因子がそれぞれの精子に存在することが示唆された。 (目的3)ウシZP2成熟体のプロセシング部位をエンテロキナーゼ切断配列に置換した組換えタンパク質の発現系を構築し精製したが、切断されなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(目的1)平成25年度実施予定の糖鎖付加部位の変異タンパク質の作製と機能解析まで進んだ点は当初の計画以上に進展している。しかし、計画していた間接蛍光抗体法による解析をまだ実施していない。ウシZP3成熟体と前駆体は発現レベルが低いことが判明したため大量発現の当初の予定を変更した。ウシZP4成熟体と前駆体は発現レベルが良好であったため大量精製しX線小角散乱解析を開始した(放射光共同利用実験課題番号2012P005)。当初の計画にはなかったが、ブタZP2のジスルフィド結合解析に利用する目的で、C末端フラグメントに対する特異抗体を作製した。 (目的2)ブタ透明帯の調製が予定通り進まず,アフィニティーカラム作製に至っていない。しかし,糖脂質アナログを用いた糖結合特異性の解析を行い,透明帯糖鎖構造と精子の糖結合特異性が良く対応することをあきらかにし国際シンポジウムで発表するとともに国際誌に発表した。 (目的3)予定通り、ウシZP2のプロセシング部位をエンテロキナーゼ切断部位に置き換えた組換えタンパク質の発現系構築に成功した。受精に伴うプロセシングを試験管内で再現する計画であったが,予想外にエンテロキナーゼでは切断されなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
(目的1)当初の計画に従う。ただし、平成24年度に実施しなかった間接蛍光抗体法による解析を行うとともに、平成24年度のデータを論文投稿できる段階に完成させる。平成24年度のデータをさらに発展させるため、当初の計画に加えて相互作用部位をアミノ酸残基レベルであきらかにする。 (目的2)ブタ透明帯の大量調製を進め、当初平成24年度に計画していたアフィニティー樹脂を用いた透明帯結合タンパク質の検索を行う。 (目的3)平成24年度の結果がよくなかったことを踏まえて、ウシZP2に関しては成熟体全長の組換えタンパク質ではなく、プロセシング部位を含むサブドメインの発現系を構築しエンテロキナーゼ切断が可能かどうかを検討する。平成24年度にマウスに関して、ovastacinがプロセシング酵素であるとの報告がなされた。このことに基づき新たな研究計画を追加する。マウスZP2とマウスovastacinの発現系を構築し、試験管内でのプロセシングの再現を試みる。これに成功した場合、プロセシングに伴うZP2の立体構造変化を円偏光二色性およびX線小角散乱により調べる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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[Journal Article] Binding of Sperm to the Zona Pellucida Mediated by Sperm Carbohydrate-Binding Proteins is not Species-Specific in Vitro between Pigs and Cattle.2013
Author(s)
Takahashi K, Kikuchi K, Uchida Y, Kanai-Kitayama S, Suzuki R, Sato R, Toma K, Geshi M, Akagi S, Nakano M, Yonezawa N
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Journal Title
Biomolecules
Volume: 3(1)
Pages: 85-107
DOI
Peer Reviewed
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