2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24570126
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山形 敦史 東京大学, 放射光連携研究機構, 助教 (20463903)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | X線結晶構造解析 / TA タンパク質 / 膜タンパク質 |
Research Abstract |
今年度は、Get3 : TA タンパク質複合体の結晶化を行った。Get3と TA タンパク質を大腸菌内で共発現させると、TA タンパク質が Get3 に対して過剰に結合した複合体が形成され、この複合体を用いても結晶化に成功しなかった。そこで、Get3 と TA タンパク質のモル比が適切となるように様々な試みを行ったところ、ATP 非加水分解性の変異体 Get3 を用いると TA タンパク質が等モル程度結合した複合体が形成されることを見いだした。この複合体を用いたところ、結晶を得ることができ、3.3 オングストローム分解能での回折データを測定した。しかし、分子置換法による構造解析の結果、TA タンパク質の電子密度は見られなかった。そこで、結晶化の妨げになると考えられるフレキシブルなループ部位を除いた Get3 を作製して、新たな結晶化条件を検索したところ、2.8 オングストローム分解能の回折を示す結晶が得られた。しかし、この結晶も構造解析の結果、Get3 単体の構造であることが分かった。 Get3 を膜に局在させるレセプターである Get1/Get2 複合体の構造解析に関して、まずGet1 の発現系の構築と精製に成功した。Bac-to-Bac システムを用いて Get1 を昆虫細胞 Sf9 内で発現させた後、界面活性剤 DDM を用いて可溶化し、ヒスチジンタグを用いて精製に成功した。このサンプルとGet3 を混合して複合体を形成させ、ゲルろ過クロマトグラフィーによって複合体を精製することが出来た。得られた複合体の結晶化をシッティングドロップ蒸気拡散法、Bicelle、LCP 法を用いて行ったが、現在のところ結晶を得ることが出来ていない。また、Get2 に関しても同様に昆虫細胞発現系を構築し、昆虫細胞内で発現させ、同様にヒスチジンタグを用いての精製に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Get3 : TA 複合体の結晶化に関しては、結晶化に適していると考えられる Get3 : TA タンパク質複合体の調整に成功した。この複合体を用いて、実際に結晶を得ることができたが、構造解析の結果、単体の結晶であった。従って、当初の予定通り進捗してはいるが、最終目的である複合体の結晶化には成功しておらず、②のおおむね順調に進行している状況であると考えている。一方、Get1/Get2 の精製に関しても、当初の計画通り、精製に成功している。また、Get3 との複合体化にも成功しており、その点では順調に進行している状況といえる。しかし、現在のところ結晶化には成功しておらず、今後さらなる工夫によって結晶化に成功したい。
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Strategy for Future Research Activity |
Get3 : TA 複合体の結晶化に成功していない理由として、複合体が準安定的なため、結晶化条件によって TA タンパク質が解離していると考えられる。この問題を解決するために、今年度は Get3 と TA タンパク質の架橋による複合体の安定化を行い、結晶化だけでなく、架橋を利用した結合部位の同定も行っていく予定である。また、Get1 と Get2 については、両タンパク質の精製に成功したので、次年度は Get1/Get2 複合体の調整を行い、結晶化を行う。さらに、Get3 も加えた3者複合体の調整と結晶化も行う予定である。また、一般に膜タンパク質の結晶化においては異なる生物種からのサンプルを用いての結晶化が有効である例が多い。次年度は、異なる生物種からの GET タンパク質のクローニングと、発現・精製も行い、より結晶化に適したサンプルの検索と調整を行って、結晶化に成功したい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
既に、研究遂行に必要な備品類は研究室に備わっているため、次年度も消耗品類の購入に研究費を用いる。具体的には、精製・結晶化のための試薬類・界面活性剤や、培養のための培地類、クローニングや変異体作製のためのオリゴ DNA、実験一般に必要なプラスチック器具類などである。
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