2012 Fiscal Year Research-status Report
光照射固体NMRを駆使したレチナール異性化と光受容膜タンパク質の構造変化の解明
Project/Area Number |
24570127
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
川村 出 横浜国立大学, 工学研究院, 助教 (20452047)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 固体NMR / 膜タンパク質 / レチナール / ダイナミクス / 立体構造 |
Research Abstract |
本研究では固体NMR分光法を用いて、光受容膜タンパク質の構造解析を行うことが目的であり、本年度は以下のような成果が得られた。 1. 固体NMRの高速MAS法による試料への圧力効果を利用して、光駆動型プロトンポンプ機能をもつバクテリオロドプシンのレチナールを13-cis型へ異性化させ、その場合でのタンパク質構造変化を観測し、レチナール近傍のアミノ酸残基(Ala81, Ala84)で運動性が上昇することが明らかとなった。これによりタンパク質の構造変化を伴って13-cis型レチナールへ異性化することが示唆され、大きな体積減少に関わっていると考えられる。 2. 光照射固体NMRをさらに改良し、走光性を司るセンサリーロドプシンIに対してIn-situ光照射-固体NMRによる実験を行った。特に2波長の光を利用して、その光反応を化学シフトで区別して詳細に解析した。その結果、測定中にレチナールの光異性化反応を引き起こすことに成功し、機能に重要な光中間体を捕捉することに成功した。 3. 高磁場固体高分解能NMR法を用いて、細胞膜中で三量体構造を形成しているアナベナセンサリーロドプシンの立体構造解析を試みた。[1,3-13C]glycerolおよび[2-13C]glycerolを用いて試料を調製し、分子間の距離情報や化学シフト値情報などを獲得して構造計算を行った。それにより、細胞膜中で三量体を形成している状態でアナベナセンサリーロドプシンの立体構造を決定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高分解能固体NMR法の標準的な手法としてマジック角回転MAS法があり、この手法を用いながら、試料管に入れた試料を光励起するIn-situ光照射-固体NMRを主に使用している。これを用いてセンサリーロドプシンIがもつレチナールの光異性化反応を固体NMR測定中に観測することに成功した。同時に、測定中に光の波長を容易に切替えることができるLED光源を設置し、多波長での光反応実験を行うことも可能とした。これにより、センサリーロドプシンIの正および負の走光性に関わる中間体を観測し、これらをレチナールの化学シフト値によって区別することができた。このように本研究課題で主に使用する手法を用いて、興味深い結果が得られたため、順調に研究が進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
光照射-固体NMRによって、反応中心であるレチナールの光異性化を観測することに成功したので、今後はそれを取り囲むタンパク質構造の変化を捉え、光活性メカニズムに関する構造情報を集める。また、変異体や細胞膜の成分を変えてタンパク質の変化を観測する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(13 results)