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2013 Fiscal Year Research-status Report

生体を模倣する試験管内アミロイド線維形成反応系の構築

Research Project

Project/Area Number 24570129
Research InstitutionUniversity of Fukui

Principal Investigator

長谷川 一浩  福井大学, 医学部, 助教 (60324159)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 内木 宏延  福井大学, 医学部, 教授 (10227704)
Keywords蛋白質 / 脳神経疾患 / 病理学 / アミロイド / アルツハイマー病
Research Abstract

難治性疾患であるアミロイド症を引きおこす各種アミロイド線維、特にアルツハイマー病βアミロイド(Aβ)およびβ2-ミクログロブリン(β2-m)アミロイド(透析アミロイド)の形成機構を解析した。
(a) Aβペプチドは試験管内で重合し線維を形成する。従来一般的に、10-100 μM程度のAβ濃度で試験管内重合反応が行われていた。昨年度、線維形成を強力に促進する気液界面を除去し、更に重合核形成を誘起しにくい担体に蛋白質を固定化し攪拌して、Aβ濃度5 μMで重合反応を評価できる反応系を構築した。従来は重合を抑制すると報告された細胞外マトリックス成分が、より生体条件に近い本反応系では、重合を促進することを見出し、本年度論文を発表した。一方、脳内のAβ濃度は10 nM以下であるが、閉鎖型反応系では1 μM程度以下にはできないことが判明した。そこで本年度は、改良閉鎖反応系の開発で得られた知見を基にして、開放型反応系の構築を試みた。即ち、細胞外マトリクス成分を固定した当該担体を、気液界面を無くした反応容器に入れ、シリンジを用いて10-100 nM程度のAβ40ペプチドを数週間にわたって連続的に添加・排出する開放型反応系を作成している。複数の測定系と反応系を試行した結果、1 μM Aβ40以下での線維増加反応が観察可能になりつつある。このような反応系は脳内におけるAβ線維形成をさらに忠実に再現できる可能性が高く、更に改良を進めている。
(b) β2-mアミロイド線維形成機構の解析:β2-mアミロイド線維形成において、リゾリン脂質等のβ2-mの立体構造を部分的に不安定化させる因子が必要である。生体因子の候補群が生体中でβ2-mに相互作用していることを検出する方法を調査検討中である。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

(a) Aβペプチドは、従来一般的に試験管内重合反応に用いられてきた10-100 μM程度の濃度では、線維形成を誘起する因子が無くても自発的に重合し線維を形成する。この条件下では、生体内でAβペプチドの重合を誘起するような生体成分を探索したり、線維形成にかかわる生体分子間相互作用を正確に評価することは困難であると考えられる。そこで、Aβ濃度を生体条件の1-10 nMになるべく近づけた開放型反応系の構築を試み、その開発が順調に進行している。この反応系を確立した上で、これを用いて、Aβを濃縮し線維核形成を誘起するような生体因子や、脳内でAβに結合して線維形成を抑制する生体因子等を、生体に極めて近い条件で探索し反応機構を生理的条件下で解析することが可能になると考えられる。
(b) β2-mアミロイド線維形成を促進する生体分子群の探索:不安定化因子により立体構造が変化するβ2-mの部位が、核磁気共鳴法等によっても特定できておらず検出方法を絞り込むことが難しい為、対策を検討している。

Strategy for Future Research Activity

(a-1) 現在進めているAβアミロイドの試験管内開放型反応系を構築する。そのうえで、Aβペプチドがシード存在下で、線維に組み込まれ線維が伸びることのできる最低濃度である、臨界モノマー濃度を測定する。生体の脳脊髄液中のAβペプチド濃度は、1 nM前後である。例えば臨界モノマー濃度がこれ以上であった場合は、生体環境下で何らかの濃縮機構や、線維を安定化させたりAβモノマーを不安定化させるなど平衡反応をずらす因子等が働いている可能性を示唆する。このような指標を用いて、生体環境下におけるAβアミロイド線維形成機構を正確に再現することを目指す。
(a-2) 上述の開発中の試験管内開放型反応系を完成させ、核形成を誘起する生体因子の探索と共存成分の核形成抑制・促進効果の判定を行う。開放型反応系の担体に核形成に関わる細胞外マトリクス蛋白質等を同定する。これにより線維形成が促進されるかどうかを指標にして、核形成促進因子を同定する。また、脳脊髄液中には、アルブミン、トランスサイレチン等の蛋白質がふくまれ、これらはAβペプチドモノマーと相互作用していることが示されている。これらを上記の重合反応系のAβ溶液に共存させたときに、核形成に及ぼす抑制・促進効果を検討する。
(a-3)線維形成を阻害する薬剤を探索する。上述の(a-1,2)の結果を踏まえて、開発中の試験管内開放型反応系を用いて、線維形成阻害剤候補物質をAβ溶液や担体に共存させてその抑制効果を指標にして探索を行う。
(b) β2-mアミロイド線維形成を促進する生体分子群の探索:アミロイド線維形成の際に構造変化する領域を特定せずに、その構造変化を検出しうる一連の立体構造認識特異抗体等を、全領域にわたって安価に作成する方法を検討する。この方法により生体中のβ2-mのアミロイド原性変化を検出する方法を構築する。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

β2-mアミロイド線維形成を促進する生体分子群の探索において、解析方法の探索を行っていた。このため、立体構造認識特異抗体等の作成や変異型β2-mの作成などを保留していた。これらに相当する消耗品費が残ったものである。
βアミロイドの試験管内開放反応系の構築:担体、Aβペプチド、共存蛋白質、反応装置や微量送液ポンプ等の購入に用いる。β2-mアミロイド線維形成を促進する生体分子群の探索:β2-m構造変化を検出しうる一連の立体構造認識特異抗体等の作成や、検出反応系の構築に係る試薬などに用いる。また、当該研究結果の学会発表の旅費として、また、当該研究成果を論文として発表する際の掲載料として使用する。

  • Research Products

    (3 results)

All 2013

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (2 results)

  • [Journal Article] Surface-bound basement membrane components accelerate amyloid-β peptide nucleation in air-free wells: An in vitro model of cerebral amyloid angiopathy.2013

    • Author(s)
      Hasegawa K, Ozawa D, Ookoshi T, Naiki H
    • Journal Title

      Biochim Biophys Acta

      Volume: 1834 Pages: 1624-1631

    • DOI

      10.1016/j.bbapap.2013.04.011

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] ビーズ表面に結合した細胞外マトリクス成分は、気液界面非存在下でアルツハイマー病βアミロイド線維の核形成を促進させる2013

    • Author(s)
      長谷川 一浩, 小澤 大作, 大越 忠和, 内木 宏延
    • Organizer
      日本生物物理学会第51回年会
    • Place of Presentation
      京都, 京都国際会議場
    • Year and Date
      20131028-20131030
  • [Presentation] β2-ミクログロブリンアミロイド線維の線維芽滑膜細胞に対する細胞毒性の検討2013

    • Author(s)
      大越 忠和, 長谷川 一浩, 小澤 大作, 内木 宏延
    • Organizer
      第102回日本病理学会総会
    • Place of Presentation
      札幌, ロイトン札幌
    • Year and Date
      20130606-20130608

URL: 

Published: 2015-05-28  

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