2012 Fiscal Year Research-status Report
ペルオキシソーム膜透過装置複合体とその制御メカニズムの解明
Project/Area Number |
24570134
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
田村 茂彦 九州大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (90236753)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤木 幸夫 九州大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (70261237)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ペルオキシソーム / 膜タンパク質 / 複合体 |
Research Abstract |
平成24年度は、ペルオキシソーム膜透過装置複合体を効率よく分離・精製するための最適条件を見いだすことで、その輸送装置複合体の構造を解明するための分子基盤を得ることを目的としていた。これまで、ペルオキシソームマトリックスタンパク質を内腔側へ輸送するための膜透過装置複合体はPex14pを主な構成タンパク質としていること以外、複合体の大きさやタンパク質の組成、膜透過のメカニズム等を含めたその全体像は明らかにされていなかった。そこで、哺乳動物由来の培養細胞からPex14pを主な構成成分とする複合体を構造生物学的に解析するために、高純度でなおかつ効率よく分離・精製した。 哺乳動物細胞由来のPex14pを含む膜透過装置複合体をBlue Native-PAGEにより複合体I、II、IIIと名付けた3種の複合体として分離・同定し、それぞれ約600kD、800kD、1100kDの分子量であることを見いだした。次に、Flagタグを付加したPex14pをCHO細胞に発現させ、タグを指標とした免疫沈降により3種のFlag-Pex14p複合体を回収した後、Blue Native-PAGEにてそれぞれの複合体を分離した。分離後のゲル片を切り出し、透析バッファー中で電気泳動することでそれぞれの複合体を溶出させ、Pex14pを含む3種の膜透過装置複合体を分離して回収した。これまでのところ、分離・精製の操作をスケールアップすることで効率よく大量にPex14p複合体を調製することを可能とした。まず、複合体Iに焦点を絞っているが、今年度は、この複合体は何量体で、そしてどのような構造を形成しているのか構造生物学的に解明するための実験的な基盤を得ることができたと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初、設定した目的を達成することができ、今後の研究をさらに進展させていくための基盤を得ることができたと考えているため、おおむね順調に進展していると判断した。Pex14pを主な構成因子とする膜透過装置複合体の構造生物学的な知見を得るに至っていないため、当初の計画以上に進展しているとは評価できない。次年度は、今年度に得られた成果をもとにしてさらに研究を進展させる。
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Strategy for Future Research Activity |
ペルオキシソーム膜透過装置複合体を構造生物学的に解析するために電子顕微鏡による1分子解析を進めることで、Pex14pがどのような複合体構造を形成しているのか解明することを第1の達成目標とする。こうして得られた構造的な分子基盤をもとに、タンパク質のペルオキシソーム膜透過メカニズムにおいて3種の複合体がどのような役割を持ち、機能しているのか解明する。また、それぞれの複合体の役割を解明するためには膜透過輸送を試験管内で再構成する実験系を構築する必要があり、この実験系の構築を第2の達成目標とする。さらに、細胞質に存在するPex1pホモ複合体がATP依存的に複合体IIIの解離に寄与していること、そしてペルオキシソーム膜に存在するPex26pが複合体Iと相互作用する可能性を見いだしており、Pex14p複合体と他のペルオキシン因子との相互作用に着目してそれぞれの機能解析を進める方向性でも研究を展開させる。つまり、構造生物学的な解析とペルオキシン機能解析を相互に組み合わせながら多元的なアプローチから今後の研究を推進する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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