2012 Fiscal Year Research-status Report
細菌の感染と共生における消化管の糖脂質受容体と細菌の糖脂質抗原の役割
Project/Area Number |
24570141
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
岩森 正男 近畿大学, 理工学部, 教授 (90110022)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 糖脂質 / フコース転移酵素 / 消化管上皮 / スルホ糖脂質 / フコシル化糖脂質 / 免疫不全 / 共生細菌 / 細菌受容体 |
Research Abstract |
T細胞B細胞免疫不全マウスScidと対照CB17マウス、およびT細胞免疫不全ヌードマウスと対照Balb/cマウスの消化管における糖脂質発現は部位特異的であった。対照マウス共通に、GA1とスルホGA1は十二指腸、空腸、回腸に、フコシルGM1は胃と盲腸に、スルファチドは盲腸に含まれていた。Scidマウス盲腸にはスルファチドが含まれていない点を除き、これらの部位特異的糖脂質の発現量は免疫不全と対照マウスの間で大きな違いは見られなかった。一方、フコシルGA1はフォルスマン抗原同様、消化管全域に発現していたが、その発現量はどの部位においても免疫不全マウスの方が高濃度であった。ヌードマウス回腸、盲腸、結腸のフコシルGA1は対照マウスの1.6~2.5倍であったが、Scidマウスのこれらの部位の濃度は対照マウスの4~6倍に達していた。盲腸のフコシルGM1濃度はヌードマウスが対照マウスの1.4倍、Scidマウスが対照マウスの0.5倍であることから、盲腸におけるGA1のフコシル化はGM1のフコシル化に比べて亢進している事が分かった。小腸においてGA1α1,2-フコース転移酵素は細菌感染によって誘導される性質を持っているが、この酵素誘導は細菌に対する免疫応答の結果ではなく、細菌によって引き起こされている事を示している。事実、免疫不全マウスと対照マウス糞便中の乳酸菌選択培地で培養可能な細菌の種類は全く異なっていた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
糖鎖特異的抗体を用いた免疫検出法により、抗原糖脂質を定量的に検出するための検量線を作製した。Lactobacillus属、Staphylococcus属、Streptococcus属より分離した糖脂質の構造解析の結果、細菌属特異的2糖糖脂質として、それぞれGalα1-2Glcα1-3DG、Glcβ1-6Glcβ1-3DG、Glcα1-2Glcα1-3DGを決定した。Lactobacillus属については、2糖糖脂質に糖鎖修飾を受けた3糖および4糖糖脂質が含まれていた。腸内細菌はGalαがα1-6結合、発酵食品の細菌はGlcβがβ1-6結合した構造であった。腸内細菌の検出には、4糖糖脂質Galα1-6Galα1-6Galα1-2Glcα1-3DGを用いて検量線を作製した。代表的な腸内細菌Lactobacillus johnsoniiに含まれる4糖糖脂質の含有量は1億個当たり0.22 μgであった。10~250 ngの抗原量を測定できるようになったことから、より簡便に定量化でき、計画は順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
免疫不全と対照マウス糞便中の優性細菌は全く異なっていることから、それぞれの細菌の糖脂質抗原の構造を決定する。免疫不全マウス糞便中の優性細菌の糖脂質は正常免疫系によって識別拒絶される構造であると考えられる。細菌属特異的2糖糖脂質に糖が結合した構造は、より強い抗原活性を示すため、宿主免疫システムによって識別される構造は3糖以上の構造である可能性がある。3糖以上の構造に着目して解析を進める。また、当該構造を認識する免疫担当細胞がT細胞、B細胞、NK細胞のいずれであるのかを明らかにする。IgA分泌不全およびNK活性不全マウスについても消化管糖鎖の変化と共生細菌の種類を調べる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(9 results)
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[Journal Article] Enhanced expression of sulfatide, a sulfated glycolipid, in well-differentiated endometrial adenocarcinoma.2012
Author(s)
Sugiyama T, Miyazawa M, Mikami M, Goto Y, Nishijima Y, Ikeda M, Hirasawa T, Muramatsu T, Takekoshi S, Iwamori M.
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Journal Title
Int J Gynecol Cancer
Volume: 22
Pages: 1192-1197
DOI
Peer Reviewed
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