2014 Fiscal Year Annual Research Report
転写因子SATB1に対する複合標的核酸創薬基盤の開発
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24570144
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
山崎 和彦 独立行政法人産業技術総合研究所, バイオメディカル研究部門, 主任研究員 (00358243)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 転写因子 / 核酸創薬 / がん / タンパク質核酸相互作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、転写因子SATB1の他タンパク質結合ドメインや複数のDNAドメインを対象とし、これらに結合して機能阻害を行う核酸分子の取得を行うことを目的としている。昨年度、特に生理的塩濃度下で強い結合力を示すチオリン酸化修飾核酸について、この原因の精査を目的としてSATB1のCUTr1ドメインとの複合体の結晶化を行った。本年度はさらに条件検討を進めた結果、良好な結晶を取得して立体構造の決定に成功した。これにより、DNAに導入したS原子とタンパク質のアミノ酸側鎖のC原子の間に、疎水性相互作用が生じていることが明らかになった。高い塩濃度下では、静電的相互作用の働きよりも疎水性相互作用の働きが有利となるため、これが結合力の強化につながったと考えられる。チオリン酸化修飾は、核酸の細胞中での安定性を保持する目的で核酸創薬分子種に多用されているが、ターゲット分子との複合体として立体構造解析された例は見あたらない。したがって、本研究において、S原子による疎水性相互作用を確認したことは、初めての知見として意義が大きいと考える。 この修飾核酸を乳がん由来の細胞株に作用させ、増殖低減の効果を調べたが、現在までに顕著な効果は得られていない。細胞膜の透過や核への移行に問題がある可能性があるため、さらなる検討を要する状況である。さらに、他タンパク質結合ドメインとその相互作用タンパク質(ヒストンアセチル化酵素、ヒストン脱アセチル化酵素)およびそれらの機能ドメインの調製を進めた。現在までに、タンパク質結合ドメインを対象とした核酸創薬分子種の創出にはいたらなかったが、今後の研究において、核酸を含む様々な創薬研究の基盤として、新規抗がん薬剤の創出に繋げて行きたい。
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Research Products
(2 results)