2013 Fiscal Year Research-status Report
スフィンゴ脂質欠損マウスを用いた免疫系に関する基礎的研究
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24570145
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Research Institution | Azabu University |
Principal Investigator |
山下 匡 麻布大学, 獣医学部, 教授 (30220338)
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Keywords | スフィンゴ脂質 / ノックアウトマウス |
Research Abstract |
本申請で用いるスフィンゴ糖脂質floxマウスは、マウスは、最低15代以上のバッククロスが完了しC57BL/6バックグラウンドとして本研究で用いた。また、コンディショナルマウス作製の際に用いるLck-Creマウスを用いたT細胞特異的ノックアウトマウスの作製した。当該マウスの解析結果の一部として前年度は、T細胞におけるスフィンゴ糖脂質の発現量に関して、未成熟期のT細胞では、スフィンゴ脂質の発現の減少が僅かであるが、末梢血中のT細胞のスフィンゴ脂質はほぼ完全に消滅した。等の結果が得られた。今年度は、これらマウスを用い、リウマチモデルの作製を行い、以下の結果を得た。これに先立ち既に先行研究の結果として、GM3を欠損したマウスにおける病態、サイトカイン発現等の結果を発表した(Tsukuda, Y.et al. (2012) Ganglioside GM3 has an essential role in the pathogenesis and progression of rheumatoid arthritis. PLoS One. 7(6):e40136.)。本研究は、リウマチの発症機序とその病態を解析する上で、有用なモデルとなりうる。つまり、細胞膜にスフィンゴ脂質が存在しない場合のT細胞の機能を、サイトカインの発現や発症時期、発症頻度および病態そのものからの解析可能である。最も特筆すべき変化は、スフィンゴ脂質の有る無しおよびサイトカインの産生にある程度の相関が示された。また、リウマチの発症時期、発症頻度には大きな違いは現れなかったが、その病態には変化が観察された。結果的に、GM3ノックアウトマウスに比べ、症状の軽度化は観察されたが、サイトカイン等のT細胞の機能は、GM3のおいてもトータルスフィンゴ脂質欠損においても顕著な際は観察されなかった。一方、スフィンゴ糖脂質の一分子であるGM3を欠損させた場合の免疫反応とトータルスフィンゴ脂質欠損における違いがない理由は、次の検討課題の一つとして残る形となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
他大学への異動2年目であるが、動物の移動および研究室のセットアップは、当初の予定通りではない。以下の項目が実施できなかった。CD62L(ナイーブT細胞)、CD44(メモリーT細胞)、CD25, foxp3(レギュラトリーT細胞)を用いて、T細胞のポピュレーション変化を検証する。また、アポトーシスを検出するためにcaspase3, Bcl2等を、セルサイクルを確認するためにKi-67を用いて解析する。サイトカインの産生や分泌に差異があることが予想されるためフローサイトメーターを用いた解析(IFN-γ, TNF-α, Perforin等)および、T細胞の分離後、IL-17や転写因子であるGATA3やT-betも併せて調べることで、スフィンゴ糖脂質が、Th1, Th2等への分化に関与するかを検証する。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度に実施できなかった項目に関してまず実行する。さらに、スフィンゴ脂質の一種であるスフィンゴミエリン欠損マウスを樹立し、前年度同様、「CD62L(ナイーブT細胞)、CD44(メモリーT細胞)、CD25, foxp3(レギュラトリーT細胞)を用いて、T細胞のポピュレーション変化を検証する。また、アポトーシスを検出するためにcaspase3, Bcl2等を、セルサイクルを確認するためにKi-67を用いて解析する。サイトカインの産生や分泌に差異があることが予想されるためフローサイトメーターを用いた解析(IFN-g, TNF-a, Perforin等)および、T細胞の分離後、in virtoにおいて、CD3やCD28の刺激下のおけるサイトカイン産生をELISAにより測定する」を実施する。また、今回、大腸炎モデルの作製とその解析を開始した。これらに関しても上記の事項のいくつかを実施する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成26年度以降に設備備品の購入の予定はない。いっぽう、前年度からの繰越金を含め、一般試薬および免疫試薬、モデル動物を作製するための試薬、動物管理および飼育費用の増大が予想される。 本年度使用額(2,917,630円)の使用内訳の概要に関しては、以下の通りである。 一般試薬(800)、免疫試薬(500)、実験用動物飼育経費(400)、細胞培養用試薬(500)、ディッシュ、ピペット等(300)、成果発表(100)、論文投稿(200)、学会参加(100) (千円)
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[Journal Article] Improvement of spontaneous alternation behavior deficit by activation of α4β2 nicotinic acetylcholine receptor signaling in the ganglioside GM3-deficient mice.2013
Author(s)
Niimi, K., Nishioka, C., Miyamoto, T., Takahashi, E,. Miyoshi I., Itakura, C., Yamashita, T.
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Journal Title
Biomed Res
Volume: 34(4)
Pages: 189-195
Peer Reviewed
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[Journal Article] Activin receptor-like kinase5 inhibition suppresses mouse melanoma by ubiquitin degradation of Smad4, thereby derepressing eomesodermin in cytotoxic T lymphocytes.2013
Author(s)
Yoon JH, Jung SM, Park SH, Kato M, Yamashita T, Lee IK, Sudo K, Nakae S, Han JS, Kim OH, Oh BC, Sumida T, Kuroda M, Ju JH, Jung KC, Park SH, Kim DK, Mamura M.
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Journal Title
EMBO Mol Med.
Volume: 5(11)
Pages: 1720-39.
Peer Reviewed