2012 Fiscal Year Research-status Report
カルシウムポンプにおける静電相互作用の役割と環境による影響の解析
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24570147
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
山崎 和生 旭川医科大学, 医学部, 講師 (60241428)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 酵素反応 / 生体エネルギー変換 |
Research Abstract |
本年度実施した研究により、次の成果が得られた。 1)Ca2+-ATPaseへのCa2+結合量測定法の改良:従来Ca2+-ATPaseのCa2+結合測定では、washのステップを入れるとCa2+も洗い流されるため、バックグラウンドを下げる有効な手段がなく、S/N比が悪くなっていた。また、筋小胞体膜標品(SRV)では膜中のCa2+-ATPase含量が高いため、ある程度のS/Nを確保できるが、COS-1細胞で発現させたCa2+-ATPaseを含むmicrosomeでは発現量が低いため非常にS/Nの悪い測定しかできなかった。これに対し私は、バックグラウンドを減らすために、washerの検討、45Caによる前処理時間の検討を行い、microsomeを用いた測定でS/N比を大幅に向上させることができた。この測定法を用い、microsome上に発現したCa2+-ATPase変異体で、E1PCa2からE2Pを経てCa2+を放出する過程を測定し、野生型では生じないE2Pへの転換に先立つCa2+放出を見出すことができた。 2)Ca2+-ATPaseのNanolipoprotein Particle (NLPs)への組み込み:Ca2+-ATPaseの活性に対する脂質の影響を調べるため、Ca2+-ATPaseを可溶化したのちNLPsに組み込むことを検討した。その結果SRVから得た可溶化Ca2+-ATPaseを、MSP1D1およびMSP1E3D1から構成されるNLPsに組み込むことができた。NLPsに組み込まれたCa2+-ATPaseはリン酸化中間体形成能、Ca2+依存性ATPase活性を保持しており、その活性はNLPsの脂質組成の影響を受けることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Ca2+-ATPaseの反応各ステップの測定の内、最も測定時のS/Nが悪いCa2+結合について、劇的な改善が達成され、microsomeを用いた測定にめどがついた。これにより、SRV標品から調製したCa2+-ATPaseとCOS-1で発現させたCa2+-ATPaseの、また野生型と変異型Ca2+-ATPase性質について詳細な比較ができるようになった。さらにSRV標品から調製したCa2+-ATPaseについて、NLPsへの組み込みができるようになったことから、Ca2+-ATPase周辺の脂質環境を自由に変化させる方法を手に入れることができた。以上の結果は本研究の「Ca2+-ATPase反応の各ステップにおける静電的相互作用の役割を明らかし定量化すること、及びSR膜とmicrosomeでの違いを明らかにし、活性に重要な静電的相互作用に対する脂質環境の影響について調べる」という目的達成において必要な技術が確立できたことを意味する。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度で確立させた測定方法と再構成系を用いCa2+-ATPaseの静電的相互作用に対する脂質環境の影響を明らかにしていく。まずSRV標品より得たCa2+-ATPaseを組み込んだNLPsを用いて、脂質組成のCa2+-ATPaseの各反応ステップに対する影響を測定する。さらに塩濃度による反応速度の変化から、脂質を変えた時の影響の内の静電相互作用の関与の度合いを見積もる。これにより野生型Ca2+-ATPaseの活性発現における脂質や電荷の影響を見積もることができると考えられる。このようにして得られた結果と、これまでに得られているCa2+-ATPaseの立体構造を照らし合わせ、静電的相互作用部位を予測し各反応中間体にある静電的相互作用に関与すると思われる側鎖をピックアップし、その側鎖の電荷を消したり、逆にした変異体の設計を行う。このようにして設計した変異体を作成し、COS-1細胞で発現させ、再構成変異Ca2+-ATPase標品を得る。この標品に対し野生型Ca2+-ATPaseで行ったのと同様の解析を行いその結果から静電的相互作用と脂質環境の影響について考察する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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