2014 Fiscal Year Annual Research Report
尾部アンカー型膜タンパク質の小胞体への配向性膜挿入と膜構造制御に関する研究
Project/Area Number |
24570157
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
山本 泰憲 神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (30467659)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 小胞体 / 尾部アンカー型膜タンパク質 / テイルアンカー型タンパク質 / 膜挿入装置 / CAML複合体 / 膜変形タンパク質 |
Outline of Annual Research Achievements |
尾部アンカー型膜タンパク質(テイルアンカー型タンパク質とも呼ばれる)は様々な細胞内膜系に局在し、細胞内小胞輸送、タンパク質の合成と分解、シグナル伝達、オルガネラ形成、脂質代謝などの重要な機能を担っている。尾部アンカー型膜タンパク質は翻訳終了後に小胞体膜へ挿入され、その後、小胞輸送により適切な内膜へ配置される。しかしながら、その膜挿入機構については不明な点が多い。 本研究課題で私どもは、尾部アンカー型膜タンパク質の小胞体膜挿入装置の分子実体がCAML複合体であることを発見した。さらに、その活性制御分子として細胞膜受容体型タンパク質と新規小胞体膜タンパク質を同定した。細胞膜受容体型タンパク質は細胞膜に発現することで、細胞内シグナルを伝達する。そこで、最終年度では細胞膜受容体型タンパク質の解析を推し進めた。その結果、細胞膜受容体型タンパク質は小胞体でCAML複合体と結合することで膜挿入を抑制するとともに、細胞膜への輸送が阻害されていた。このことから、尾部アンカー型膜タンパク質の膜挿入と細胞内シグナル伝達がCAML複合体を介して機能的に結びついていることが示唆された。 膜挿入装置の活性は小胞体の膜形態により物理的に調節されていることが予想されるが、その詳しいメカニズムは不明である。本研究課題で私どもは、新しい小胞体膜変形タンパク質としてArl6IP1を同定した。最終年度ではArl6IP1の解析をさらに推し進めた結果、小胞体膜タンパク質TMEM33がArl6IP1と結合し、膜変形活性を制御することを明らかにした。 今後、明らかにした分子をツールにすることで、膜挿入装置の制御機構のみならず、膜挿入を作用点とする細胞内シグナル伝達制御という概念の提示、膜挿入制御の視点による小胞体の膜形態の生理的意義の解明に繋がる可能性があると考えられる。
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