2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24570173
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
鴫 直樹 独立行政法人産業技術総合研究所, バイオメディカル研究部門, 主任研究員 (20392623)
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Keywords | tRNA / sulfur / ubiquitin / thermophile |
Research Abstract |
RNAは転写後にスプライシングや修飾などのプロセシングを経て成熟し機能を発揮する。転移RNA (tRNA) はタンパク質合成においてコドンとアミノ酸を結び付ける分子であるが、本研究ではtRNAが機能する上で必須である、立体構造の安定化やコドン認識に関わる硫黄修飾塩基の生合成機構の解明を目的とする。本研究では好熱性細菌をモデル系として利用した。 これまで好熱菌内での解析系を用い、反応機構の概略を推定している。より詳細に反応機構を解析するために、昨年度までに放射性同位元素や高速液体クロマトグラフィー装置を用いた試験管内反応解析法を確立している。これらの系を用いて硫黄修飾反応機構について定量的に解析を行った。その結果、修飾酵素TtuAには補酵素が結合し、それが酵素活性に重要であることがわかった。またTtuAの保存されたアミノ酸に変異を導入したタンパク質を用いた解析から、補酵素の結合と硫黄転移反応に必要な残基を特定することができた。さらに32P標識ATP を用いた実験からtRNAはアデニル化中間体を経て硫黄化されることが推定された。以上からこれまでに例をみない新規な反応機構の詳細について明らかにすることができた。 また上記の研究内容を含め、tRNAの硫黄修飾塩基の生合成機構と機能について、特に最近10年間の関連分野の研究をまとめて総説を執筆した。国際誌Frontiers in Geneticsに投稿し、受理された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
試験管内での定量的解析系を用いて、詳細に反応機構を解析し、より高い確度で新規なtRNA硫黄化反応機構を推定することができた。またこれまでの研究の一部については総説として国際誌で発表することができた。以上により当初掲げた計画に対しておおむね順調に研究を進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに構築した好熱菌内と試験管内のtRNA硫黄化反応解析系を活用して、複数の生合成因子間の活性化硫黄種の授受についての解析を進める。また最終段階の修飾酵素TtuAがどう基質を認識し、硫黄を導入するかをあきらかにする。また共同研究により複数の生合成因子およびtRNAの複合体の構造の決定を試み、構造に基づいた生化学的解析も行う。以上により一流国際誌への論文投稿、受理を目指す。 反応に必要な補酵素はtRNAへの硫黄導入反応に直接関与していると予想しているが、TtuAの構造安定化や、tRNAの認識に寄与している可能性もある。そこでTtuAに結合する補酵素の種類や状態を分光法(紫外-可視、電子常磁性共鳴、共鳴ラマンなど)により決定し、その機能について考察する。さらにTtuAとtRNAのフットプリント実験等も行いTtuAによるtRNAの認識機構をあきらかにする。 一連の解析から反応機構を推定することにより、RNA硫黄修飾の一つの代表的な系の詳細をあきらかにする。さらに他の系との比較をおこなうことにより、生体内の硫黄化合物の生合成機構に共通する原理を考察する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実験用試薬及び消耗品等を予想より安く購入することができたため。 研究設備は私が所属する(独)産業技術総合研究所 バイオメディカル研究部門 次世代ゲノム機能研究グループおよび部門共用の現有設備でおおむね賄うことができる。従って、研究費は主に実験用試薬及び消耗品、学会参加等のための国内旅費として使用することを計画している。
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