2013 Fiscal Year Research-status Report
酵素の機能発現におけるキャビティーと水和の役割の解明
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24570186
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
大前 英司 広島大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (30284152)
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Keywords | 水和 / 高圧力 / 酵素 |
Research Abstract |
本年度は高圧ストップドフロー装置を用いて、大腸菌や深海微生物Shewanella violacea由来ジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)の酵素反応を様々な圧力下で測定するとともに、本研究に関連して報文3報、口頭発表7件、ポスター発表3件の成果発表を行った。 とりわけ、BIochim. Biophys. Acta誌に発表した“Solvent environments significantly affect the enzymatic function of Escherichia coli dihydrofolate reductase: Comparison of wild-type protein and active-site mutant D27E.”は、わずかメチレン(CH2)1個の挿入により、加圧により酵素活性が低下する野生型DHFRを、加圧により酵素活性が上昇するように変換できることを示しており、極めて高い評価を得ている。この成果は、9月に岐阜で行われた第18回生物関連高圧研究会シンポジウムでの発表でも高く評価され、名古屋大学の渡邊信久准教授と高圧X線結晶構造解析の共同研究を、立命館大学の北原亮准教授とは高圧NMR測定の共同研究を行い、構造生物学的な視点からもメカニズム解明に向けた研究を始めることが決まった。 また、Extremophiles誌に発表した“Thermodynamic and functional characteristics of deep-sea enzymes revealed by pressure effects.”も高い評価を得ており、既に世界中の多くの研究者から別刷り(pdfファイル)要求のメールが来ている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は高圧ストップドフロー装置を用いて、大腸菌や深海微生物Shewanella violacea由来ジヒドロ葉酸還元酵素の酵素反応を様々な圧力下で測定した。Steady-stateの測定では、これまでに通常の加圧光学セルを用いた測定と同様の結果が得られた。一方、蛍光測定を用いた基質や生成物との解離・会合速度の測定は、上手くいかなかった。これは昨年装置の性能検証に用いたフルオレッセインと比較すると、トリプトファンの量子収率が低いこと、励起波長が紫外部になり、光源の光量が著しく低下すること、光ファイバーやバンドパスフィルターの紫外線透過度が低いこと、などにより、CCD検出器で検出できるレベルの蛍光強度が得られなかったことに起因している。
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Strategy for Future Research Activity |
光量の大きいキセノンランプ光源を購入する。また、検出器として、光電子増倍管を用いることも検討する。これらの改良により、必要な測定を進めていく予定である。
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Research Products
(13 results)