2014 Fiscal Year Research-status Report
p53ーp21経路の新規メディエーターであるTLPの作用機序の解明
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24570193
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
田村 隆明 千葉大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (30112692)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | TLP / プロモーター / TFⅡA / TATA-box / 転写制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの研究で、p21プロモーターのp53依存活性化にTLP(TBP-like protein)が関与し、双方の因子がエンハンサー領域に共リクルートされる事を明らかにした。p21にはTATAボックスを持たないでTLPに強く依存する上流プロモーターと、TATAボックスをもつ下流プロモーターが存在するが、いずれのプロモーターもp53に依存はするものの、TLP依存性は上流プロモーター特異的である事などが明らかになった。以上の成果を踏まえ、今年度はプロモーターの形態(TATA-プロモーターor TATA-lessプロモーター)によるTLPの寄与の違いが生まれる機構解明に注目して研究を進めた。まず両プロモーターのTFⅡA依存性を検討したところ、下流プロモーターに強い依存性がみられ、その依存性にはTFⅡAのTLP結合性が必要な事が明らかとなった。他方、上流プロモーターにもTFⅡA依存性があるが、この依存性が発揮されるためにはTLPの存在が不可欠である事が明らかとなった。いずれの解析においてもChIP法によって細胞内での各因子のリクルートが確認され、上流プロモーターにおいてはTFⅡAとTLPのコリクルートという現象も見られた。TFⅡAαβはプロセスされてそれぞれαとβに成熟し、この限定分解にはタスパーゼが関与するが、本研究において、TLPがこのプロセッシングを阻害し、その阻害はTLPのTFⅡA結合能に依存する事が明らかとなった。ゲルシフトアッセイの結果、TATAプロモーターにはTBPと共に成熟型TFⅡAが結合する事が示された。他方TATA-lessプロモーターへは前駆体TFⅡAαβが利用され、その利用にTLPが必須である事を示唆する結果が得られた。以上の結果、TLPにはプロモーター上における転写開始活性化能に加え、TFⅡAのプロセッシングを介するプロモーター選択能がある事も示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
TFⅡAを介したTLPのプロモーター活性化能を明らかにできた事に加え、TLPがTFⅡAプロセッシング調節能をもつという予想していなかった現象を明らかにでき、しかもTLPのプロモーター選択能を示唆する事ができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続きTLPの昨日解析を進める。12~13年度に「p53の機能にTLPが関与し、その活性化には両者のプロモーター上での機能的相互作用が必要」という成果を出しているが、これに加え、TLPがp53タンパク質安定性にも効いている事を推察させる結果が最近得られた。そこで15年度はこの点に焦点を当てて詳しい検討を行い、確かな場合にはそのメカニズムの解明を目指す。
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Research Products
(10 results)