2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24570200
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
和賀 祥 日本女子大学, 理学部, 教授 (60222402)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ORC / RNA結合 / 分子生物学 |
Research Abstract |
ヒト複製開始因子であるORCがGU-richなRNAにin vitroで結合することを踏まえ、ORCが結合する内在性RNAの同定を目指した。まず、ORCを構成する6種のサブユニットのうち、RNA結合活性を有するORC1に着目し、FlagタグをつけたORC1をヒト培養細胞で発現させた。そして、Flagタグを利用した免疫沈降、Flagペプチドによる溶出を行い、ORC1と共沈降するRNAの同定を目指した。しかし、発現させた細胞から穏やかな条件下ですべてのORC1を抽出する方法を確立することはまだできていないため、ORC1特異的なRNAの同定には至っていない。RNAを分解するヌクレアーゼを併用した抽出条件を試みるなど、ORC結合性RNAの同定を今後も続けていく。 上記に加えて、SELEX法を用いたORC結合性RNAの解析を進めた。今年度は、ORC複合体を使うのではなく、ORC1のRNA結合ドメインのみをGSTに融合させたタンパク質を使って、それに結合するRNA(40塩基のランダム配列を含む約100塩基)について6回の結合サイクルを行った。1、3および6サイクル後に回収されたRNAのcDNAをクローニングし、幾つかのクローンについて塩基配列の解析を行った結果、1サイクル後のRNAにおいて、G-richのRNAが高い頻度で回収されたことが分かった。これは、すでに明らかになっていたORCのRNA結合の配列特異性と一致するものである。ところが、サイクル数を重ねるにつれて回収されたRNAの塩基組成が均一化する傾向がみられた。均一化の原因として、結合反応で使用するRNAの調製の際に行う転写反応において、G-richなRNAが選択的に除去されている可能性が考えられる。そこで、今後は転写の反応条件を工夫し、さらにORC複合体を使用したSELEXを行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
細胞内の発現ORCの抽出が当初予想された以上に困難であったために、ORC結合性RNAの単離・同定に関してはやや遅れがあるが、SELEXなどの解析については順調に進んでいると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の発現ORCの抽出操作を通じて、ORCはいくつかの異なる様式でクロマチンなどの細胞内の構造や標的分子に結合していることが明らかとなった。ORCの抽出に関して様々な方策を試しながら、基本的には当初の計画通りにORC結合性RNAの解析を進めていく。 一方、ヒト複製開始点の多くでG4構造を形成し得る配列が存在することが近年報告された。この配列はヒトORCが優先的に結合するRNAの配列と一致する。さらに私らはヒトORCがRNAだけでなく1本鎖DNAにも同様な特異性で結合することを見いだした。そこで、G-richな配列に特異的なORCのRNA/1本鎖DNAへの結合と複製開始点との関係についても、当初の計画と合わせて検討していく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
細胞内ORCの抽出が困難であったためにORC結合性RNAの単離・同定には至らず、RNAのゲノムワイドの網羅的な解析をすることができなかった。その解析で使用する予定であった助成金を25年度での解析で使用したい。
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Research Products
(2 results)