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2013 Fiscal Year Research-status Report

転写因子E2Fによるがん化抑制機構の解析

Research Project

Project/Area Number 24570202
Research InstitutionKwansei Gakuin University

Principal Investigator

大谷 清  関西学院大学, 理工学部, 教授 (30201974)

Keywords転写 / がん / E2F / RB / ARF / アポトーシス / Bim
Research Abstract

転写因子E2Fによるがん抑制遺伝子の発現制御機構を解析し、以下のことを明らかにした。
1. サイクリン依存性キナーゼの活性がpRBの制御を外れたE2F活性に及ぼす影響を検討し、サイクリンD1/CDK4の過剰発現が、E2F1によるがん抑制遺伝子ARFのプロモーター活性化を抑制することを見出した。従って、Dタイプサイクリン依存性キナーゼが制御を外れたE2F活性を抑制する可能性が示唆された。
2. 制御を外れたE2Fによって特異的に活性化されることの分かった9個の新規標的遺伝子の中から、アポトーシス関連遺伝子の1つであるBim遺伝子に関して解析した。BimプロモーターのE2F反応性エレメントを検索したところ、典型的なE2F結合配列がもつTストレッチをもたないGC繰り返し配列3カ所が同定された。Bimプロモーターには、増殖刺激によって誘導された生理的なE2F1の結合は認められず、過剰発現およびpRBの強制的な不活性化によって誘導された制御を外れたE2F1の結合が認められた。shRNAによるBim遺伝子発現のノックダウンにより、E2F1の過剰発現によるアポトーシスの誘導が抑制された。従って、Bim遺伝子は制御を外れたE2Fによって特異的に発現誘導され、アポト-シス誘導に関わっていることが示唆された。
3. 増殖刺激によって活性化されたPI3キナーゼ経路が、制御を外れたE2Fによるアポトーシス関連遺伝子の発現を抑制するという報告がされているため、E2F1によるBim遺伝子発現に及ぼすPI3キナーゼ経路の影響を検討した。増殖刺激によってPI3キナーゼ経路を活性化しても、PI3キナーゼ経路のエフェクターであるPKB/Aktの活性化型を過剰発現しても、E2F1によるBim遺伝子の活性化は抑制されなかった。従って、PI3キナーゼ経路はE2F1によるBim遺伝子の活性化を抑制しないと考えられた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

1. サイクリン依存性キナーゼ活性が制御を外れたE2F活性を抑制するという、新たな知見が得られたため。
2. 新たに同定された制御を外れたE2Fの新規標的遺伝子のうち、Bim遺伝子がE2Fによるアポトーシス誘導に関わることが同定され、新規標的遺伝子の生物学的な意義が見出されたため。
3. PI3キナーゼ経路は、制御を外れたE2Fによるアポトーシス関連遺伝子の特異的な発現誘導を抑制しないという、新たな知見が得られたため。

Strategy for Future Research Activity

1. 生理的なE2Fと制御を外れたE2Fの修飾の違いの解析
サイクリン依存性キナーゼの活性化により、E2F1によるARFプロモーターの活性化が抑制されたことから、E2F1のサイクリン依存性キナーゼによるリン酸化の有無が生理的なE2Fと制御を外れたE2Fの修飾の違いの1つになっている可能性が示唆される。そこで、この違いに関わっているアミノ酸部位を同定する。そのために、既に作製してる70カ所のリン酸化を受けうるアミノ酸の変異体をスクリーニングすることにより、サイクリン依存性キナーゼの活性化によってARFプロモーターの活性化が抑制されない変異体を同定する。また、その部位のリン酸化を模倣した変異体を作製し、サイクリン依存性キナーゼの活性化無しにARFプロモーターの活性化が減弱しているか否か検討する。アミノ酸部位が確定できれば、その部位のリン酸化特異抗体を作製し、生理的なE2F1と制御を外れたE2F1とで、その部位のリン酸化の有無を比較検討する。
2. E2F1の新規相互作用因子DDX5の機能解析
過剰発現したE2F1の免疫沈降と質量解析を用いて、E2F1の新規相互作用因子としてDDX5を同定した。DDX5の過剰発現がE2F1によるがん抑制遺伝子ARFの活性化を増強することを見出しているが、逆にDDX5をノックダウンすることによってE2F1によるがん抑制遺伝子ARFの活性化が抑制されるか否か検討する。

  • Research Products

    (6 results)

All Other

All Presentation (6 results) (of which Invited: 1 results)

  • [Presentation] Distinct regulation of tumor suppressor genes by the transcription factor E2F in response to growth stimulation and oncogenic changes

    • Author(s)
      大谷 清
    • Organizer
      BIT's 6th Annual World Cancer Congress
    • Place of Presentation
      西安(中国)
    • Invited
  • [Presentation] PI3K経路は制御を外れたE2FによるBim遺伝子発現を抑制しない

    • Author(s)
      奥野潤子、大谷清
    • Organizer
      第36回日本分子生物学会年会
    • Place of Presentation
      神戸国際展示場
  • [Presentation] pRBの制御を外れたE2F活性はE2FパートナーDP1の要求性が生理的なE2F活性より低い

    • Author(s)
      後藤泰子、大谷清
    • Organizer
      第36回日本分子生物学会年会
    • Place of Presentation
      神戸国際展示場
  • [Presentation] CDK活性がpRBの制御を外れたE2F活性に与える影響の解析

    • Author(s)
      城本あゆみ、大谷清
    • Organizer
      第36回日本分子生物学会年会
    • Place of Presentation
      神戸国際展示場
  • [Presentation] ヒトT細胞白血病ウイルスの転写制御因子Taxによるcdk7遺伝子の発現誘導は、Taxによる細胞周期進行の促進に貢献する

    • Author(s)
      植野武弘、藤澤順一、大谷清
    • Organizer
      第36回日本分子生物学会年会
    • Place of Presentation
      神戸国際展示場
  • [Presentation] pRBの機能不全によって特異的に活性化されるARFプロモーターは、がん細胞特異的アプローチに有用である

    • Author(s)
      倉吉健太、大谷清
    • Organizer
      第36回日本分子生物学会年会
    • Place of Presentation
      神戸国際展示場

URL: 

Published: 2015-05-28  

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