2013 Fiscal Year Research-status Report
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24570203
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Research Institution | National Institute for Basic Biology |
Principal Investigator |
定塚 勝樹 基礎生物学研究所, 多様性生物学研究室, 助教 (40291893)
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Keywords | 染色体 / 分子生物学 / 遺伝学 / 細胞分裂 / クロマチン / 染色体構造 |
Research Abstract |
本研究では出芽酵母をモデルに、染色体凝縮で中心的役割を果たすコンデンシンが如何にしてクロマチンDNAをコンパクトに収納するのか、その機構の解明を目的とする。 出芽酵母ゲノム上でコンデンシンは、①セントロメア、②ゲノム上に散在するtRNA遺伝子(tDNA)、及び③リボソームRNA遺伝子(rDNA)反復領域にあるRFBに結合する。中でも腕部上にあるtDNAに対するコンデンシンの結合は、RFB(単一コピー)のそれに対する1/10以下でしかない。そこで、本研究では、人工的にRFBを任意の染色体腕部上に複数挿入し、それらに結合したコンデンシンが、染色体凝縮に果たす役割を、chromosome conformation capture (3C)法によって調べた。昨年度までに、腕部上に約16kb隔てて2つのRFBを挿入すると、それらにコンデンシンが結合して、分裂中期(metaphase)に2つのRFBが物理的に相互作用して、その間のクロマチンが折りたたまれることを見出した。これが染色体凝縮の素反応の1つと考えられる。今年度は、細胞周期でRFB - RFB間相互作用の変化を調べた。その結果、① 間期(G1)でもRFB間の相互作用が検出されること、②分裂中期では、間期に比較して相互作用が増加すること、③ 分裂後期(anaphase)ではRFB - RFB間の相互作用だけではなく、その周辺のクロマチン間の相互作用も上昇することが解った。この結果から、コンデンシンにより、間期でもクロマチン繊維は一定程度折りたたまれた状態にあり、分裂期に入るとより高密度に折りたたまれると考えられる。さらに、分裂中期から後期なると、RFB - RFB間での相互作用だけではなく、RFBに挟まれた領域のクロマチン繊維同士が複雑に相互作用して、RFBを基とした単純なループ構造から、より複雑に絡まった状態へと移行していることを示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、コンデンシンの働きによって、染色体上に挿入したRFB配列間での相互作用が細胞周期においてどの様に変化するのかを調べることを目的とした。細胞周期を様々な過程で停止させた細胞を使って、3C法によりクロマチン折りたたみを調べた結果、間期において既に一定程度の折りたたみが生じていることが解った。さらに分裂期になると、より高頻度に折りたたみ状態が観られること、そして分裂後期になるに連れて、クロマチン繊維の折りたたみ状態が、より高密度に複雑になる事が判明した。以上の事柄が解ったことから、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度に引き続き、分裂期の進行につれて変化するクロマチン折りたたみ状態の変化を詳細に調べる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
温度感受性変異体を使った細胞周期停止の条件検討に予定以上に期間を要したため。 当初予定していた酵素・試薬類を次年度に購入して、計画を達成する。
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