2013 Fiscal Year Research-status Report
CD36を中心とした多量体形成と信号伝達プラットフォームのメゾスコピック解析
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24570210
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
桑田 啓貴 昭和大学, 歯学部, 教授 (60380523)
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Keywords | マクロファージ / グラム陽性菌 |
Research Abstract |
変性LDL特異的スカベンジャー受容体の一つであるCD36はマクロファージの細胞表面に発現し、これらのリガンド脂質の取り込みを行う。リガンド結合時におけるCD36のヘテロ重合体形成は、分子取り込みエンドサイトーシス誘導の解析に欠かせないが、パートナー分子の実態については理解されていない。昨年度まで、CD36へテロ受容体コンプレックスの蛍光標識リガンドによるイメージング方法の開発に取り組んだが脂質への蛍光標識はリガンドの受容体への結合能への影響が強く、良い結果が得られなかった。2013年度より研究室を昭和大学に移動したので、研究設備の新規立ち上げを行った。まず、新規epifluorescence顕微鏡を入手し、これまでと同等の高感度蛍光画像を得る顕微鏡システムのセットアプに取り組んでいる。本装置により生細胞での一分子イメージングの画像取得が可能となる。また現在所属の研究室が歯学部口腔微生物であることから、本研究課題の歯科疾患との関わりについての方向性でも検討を行っている。特に口腔内のノーマルフローラを形成する口腔内レンサ球菌の病原性とCD36を含んだスカベンジャー受容体との関連ついて解析を行っている。一例として、S. oralisの細胞壁由来菌体脂質はFSL-1などと同様にマクロファージの細胞表面のTLR2を通じた免疫応答シグナルを伝えると考えられているが、過去のデータよりTLR2とCD36はヘテロマーを形成し、MAPKの活性化を引き起こしROS産生を誘導する。さらに、別のグループの研究からS.oralis自体が過酸化水素水を産生するが、これまでのところマクロファージ細胞に対してアポトーシスを誘導することを示唆するデータが得られている。これらのことから、今年度以降は口腔粘膜におけるマクロファージにおけるスカベンジャー受容体のシグナルの重要性にも焦点をあてる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2013年より研究室を昭和大学歯学部に移動した。こちらの研究室では、口腔微生物学を専門としているため、これまで私が所属していた研究所などの研究設備とは異なっており、引き続き本研究課題を遂行するためには新しい研究設備をセットアップする必要があった。これまでのところ、あたらしくzeiss社の落射型蛍光顕微鏡を入手し、引き続き生細胞での一分子イメージングを行うべく準備を進めている。また新しい共同研究者とのプロジェクトを開始し、本研究課題を異なった角度から見直すことで新しい方向性を生み出すことができるのではないかと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
CD36のヘテロマー形成のイメージングは大変ハイレベルの技術と設備を必要とする。これまで所属していた京都大学(iCeMS)には世界レベルのイメージング設備が揃っていたため、これまで研究課題を進めることができたが、現在所属している昭和大学で同等の研究設備をそろえるのはなかなか容易ではない。今後の方針としては、生細胞での一分子イメージングの手法に加えて、生化学的な手法などを援用して条件検討をすすめつつ、最終的に同様の成果が得ることのできるよう研究を進めていきたいと考えている。また、口腔内レンサ球菌によるin vtroもしくはin vivoでの免疫応答惹起のメカニズムの解析についてもこの研究課題とあわせて進めていくことで最終年度に向けて、何らかの結論を導きたいと考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
所属大学が移動したため、新しい研究設備の整備などに必要な費用の算定に時間が必要であったため。また大学内で既に揃っている設備とのオーバーラップをさけるために、既存設備の確認を行った。 今年度以降に必要な機器、機材の購入を進める。
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Research Products
(3 results)
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[Journal Article] Bacterial sphingophospholipids containing non-hydroxy fatty acid activate murine macrophages via Toll-like receptor 4 and stimulate bacterial clearance.2013
Author(s)
Fujiwara N, Porcelli SA, Naka T, Yano I, Maeda S, Kuwata H, Akira S, Uematsu S, Takii T, Ogura H, Kobayashi K.
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Journal Title
Biochim Biophys Acta.
Volume: 1831(6)
Pages: 1177-84
DOI
Peer Reviewed