2012 Fiscal Year Annual Research Report
ターゲットオブラパマイシン複合体2の制御機構の解析
Project/Area Number |
24570217
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
森ケ崎 進 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 研究員 (90242487)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | ターゲットオブラパマイシン / 分裂酵母 / グリセルアルデヒド-3-リン酸脱水素酵素 / MAPキナーゼ / 低分子型GTPase |
Research Abstract |
ターゲットオブラパマイシン(TOR)は代謝、増殖など細胞の重要機能を調節・制御し、老化および生活習慣病、癌などの疾病に関与すると言われている。モデル生物の分裂酵母はTORC2欠損が生存可能であるなど多くの利点があり、本研究の目的は、分裂酵母を用いてTORC2の制御機構を解明し、得られた知見をヒトのTORC2研究に提供することにある。平成24年度の成果を以下に示す。 1, 先行研究において同定したTORC2制御因子、Ryh1とTdh1の遺伝学的相互作用を解析した。これら二つの因子はそれぞれ異なる機構によりTORC2を制御すると推測され、今後はこれら因子に関する解析を個別に行うこととし、平成24年度はTdh1に焦点を当てた。 2, Tdh1がTORC2構成因子のうちSte20を除く因子およびTORC2の基質であるGad8と結合することを明らかにした。また、細胞の酸化ストレス処理はSin1, Tor1およびGad8のTdh1との結合を増強した。Sin1はGad8をTORC2にリクルートする因子であり、Tor1はGad8をリン酸化する酵素である。従って今回の結果は、酸化ストレス条件下においてTdh1がSin1-Gad8-Tor1間の結合を補強するアダプター因子として働くことを示唆する。 3, Tdh1をコードする遺伝子tdh1+の破壊がTORC2-Gad8経路およびストレス応答性MAPK(Spc1)経路の酸化ストレス応答を減弱させるため、これらの経路間のクロストークを解析した。Spc1欠損株において酸化ストレスによるGad8の活性化が亢進された。従って、Spc1によるTORC2制御機構の解明も研究対象に加えることにした。そこで、Tdh1とSpc1経路による協調的なTORC2制御を理解する目的で、これらの接点となるMAPKKK複合体の制御機構を解析し、その成果を学術論文として公表した。
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