2013 Fiscal Year Research-status Report
シンタキシンの減数分裂特異的なとりこみを制御するアレスチン様タンパク質の解析
Project/Area Number |
24570219
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
中村 太郎 大阪市立大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (30291082)
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Keywords | 膜輸送 / シンタキシン / アレスチン / 酵母 |
Research Abstract |
分裂酵母の胞子形成は、減数分裂と同調し、細胞内に新たに細胞を形成する興味深い現象である。このとき、細胞膜のシンタキシン1オルソログPsy1はとりこまれ、胞子の細胞膜へと移行する。シンタキシン1は膜小胞の受け取りに関わるタンパク質なので、結果的にこの移行が膜小胞輸送の方向をダイナミックに変化させると考えられる。本研究は、Psy1の取り込みの分子メカニズムを明らかにすることを目的とする。我々はアレスチンと相同性のあるMug170がPsy1の取り込みに関わることを明らかにした。出芽酵母ではアレスチンは標的タンパク質のユビキチン化を引き起こすので、Psy1のユビキチン化を調べた。まず、Psy1がもつ12個のリジン(ユビキチン化のターゲットアミノ酸)をアルギニンに置換した15種類の変異株を作製し、減数分裂時の取り込みについて調べた。その結果、111番目と112番目の2つのリジンの変異Psy1では取り込みに欠損がみられた。Mug170とPsy1の物理的相互作用を調べたが、通常の免疫沈降では検出できなかった。現在、クロスリンカーを用いて、より詳細に解析しているところである。Mug170とは異なる別のアレスチン様タンパク質の機能も調べた。Mug170はアレスチンがもつ2つのドメイン(NとC)のうちCしか持たないため、Nのみもつアレスチン (Art1, Art2)の欠損株で取り込みを調べた。しかしながら、これらの変異株でもPsy1はふつうに取り込まれたため、Art1, Art2はPsy1の取り込みには関与していないことが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
出芽酵母ではアレスチンは標的タンパク質のユビキチン化を引き起こすので、Psy1のユビキチン化が減数分裂特異的な取り込みに必要ではないかと考えた。まず、Psy1がもつ12個のリジン(ユビキチン化のターゲットアミノ酸)をアルギニンに置換したさまざまな変異株を作製した。これらの変異株を調べ、111番目と112番目の2つが取り込みに必要であることを明らかにした。Mug170とは異なる別のアレスチン様タンパク質の機能も調べた。Mug170はアレスチンがもつ2つのドメイン(NとC)のうちCしか持たないため、Nのみもつアレスチン (Art1, Art2)の欠損株で取り込みを調べた。しかしながら、これらの変異株でもPsy1はふつうに取り込まれたため、Art1, Art2はPsy1の取り込みには関与していないことが明らかとなった。Mug170とPsy1の物理的相互作用を調べているが、通常の免疫沈降では検出できなかった。現在、クロスリンカーを用いて、より詳細に解析しているところである。以上のことから、研究の予定は当初の計画通りおおむね順調に進行しているが、ユビキチン化の検出など、いくつか未解決のものもあった。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度となる平成26年度は、Psy1の減数分裂特異的な取り込みの分子モデルを構築する。これまでの結果から、減数分裂に入るとMug170が発現してPsy1に結合し、未知のユビキチンリガーゼをリクルートし、Psy1がユビキチン化され、取り込まれると考えている。これまでの結果から、この課程には複数のユビキチンリガーゼがはたらいていると考えられるが、未だ同定には至っていない。そこでまず、ユビキチンリガーゼの二重、三重破壊株を作製してPsy1の取り込みを確認し、ユビキチンリガーゼの同定をめざす。また、Psy1のとりこみは減数分裂特異的におこることから、減数分裂時に発現する遺伝子がとりこみに関与していると思われる。そこで、減数分裂に発現するmug遺伝子の破壊株セット(180株)にGFP-Psy1を導入し、Psy1の取り込みを網羅的な解析に解析し、関連遺伝子を取得するこれにより、どのような遺伝子が取り込みに関与しているか明らかになると考えられる。Mug170が直接Psy1と結合するかどうかクロスリンカーを用いたり、ツーハイブリッド法を用いたりして、明らかにしていきたい。取得した新しい遺伝子も合わせて、当初のモデルを再検証する。最終的にはバージョンアップしたモデルを構築する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
Mug170と他のタンパク質との相互作用を免疫沈降法で見ようとしたが、条件検討に時間がかかってしまい、翌年度に実験が繰り越す必要が生じた。 Mug170の検出に用いる抗体を購入する。
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Research Products
(10 results)