2014 Fiscal Year Annual Research Report
環境グルコース濃度に応じたトランスポーター分子の機能発現制御メカニズムの解明
Project/Area Number |
24570221
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
齋藤 成昭 久留米大学, 分子生命科学研究所, 教授 (30352123)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | グルコース / 輸送体 / 分裂酵母 / CaMKK / TORキナーゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
真核生物の主要なエネルギー源であるグルコースは多様なグルコース輸送体を介して細胞内へと取り込まれる。本研究では「生育環境中のグルコース濃度に応じたグルコース輸送体の機能発現制御の仕組み」を解明することを目指す。そのような仕組みを理解することはメタボリックシンドロームの一つである糖尿病の発生機序の理解にもつながるものと考えている。 これまでに我々は、1)分裂酵母がヒト血糖値程度(0.08%)の低濃度グルコースを細胞内に取り込み、そして利用するためには、ゲノム中に存在する8つのグルコース輸送体遺伝子のうちのGht5とよばれるものが必要かつ充分であること、2)分裂酵母の培養液中のグルコース濃度が低下するとGht5の発現レベルが上昇することを見出した。これとは逆に、Ght8とよばれる輸送体はグルコース濃度の低下に伴いその発現量が減少した。これらの結果は、発現する輸送体の種類が細胞外グルコース濃度に応じて切り替わることで細胞内へのグルコース流入量が調節されている可能性を示している。 さらに解析を進めたところ、カルシウム/カルモジュリン依存性キナーゼキナーゼ(CaMKK)を介するシグナル伝達経路が、細胞外グルコース濃度に応じたght5遺伝子転写調節に必要であることが明らかになった。本年度において我々は、Scr1とよばれるZnフィンガー型転写抑制因子の核内局在量を調節することでCaMKKシグナル経路はght5遺伝子転写を制御してることを明らかにした。Ght5タンパク質は速やかに細胞膜上へと移動するが、その移動にはTORC2とよばれる進化的に保存されたタンパク質リン酸化シグナル経路が必要であることを見出している。本年度の解析により、タンパク質輸送に関わる小胞輸送経路がTORC2によってコントロールされている可能性が示唆された。これらの結果を取りまとめ、MBoC誌(2015)に公表した。
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Research Products
(7 results)