2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24570222
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
森島 信裕 独立行政法人理化学研究所, 中野生体膜研究室, 専任研究員 (40182232)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 細胞分化 / 細胞死 / アポトーシス / カスパーゼ / 小胞体ストレス / 筋分化 |
Research Abstract |
1)ATF6の特異的な活性化機構についての解析 ATF6の活性化因子を同定するため、筋芽細胞中でATF6と結合しているタンパク質の探索を開始した。本年度は筋芽細胞株C2C12を用い、ATF6誘導発現株の作製を行った。FLAGやMycなどの短いタグをATF6に付けた場合の一過的発現による発現量は比較的低く、タンパク質が不安定なことが示唆されたが、GFPタグを付けるとATF6の量は格段に増えた。そこで、テトラサイクリン応答配列の下流にGFP-ATF6 cDNAを連結してC2C12細胞の染色体に組み込んだ。得られた定常発現細胞は、ドキシサイクリンを添加に応じてGFP-ATF6を高発現することが顕微鏡観察とウエスタンブロット解析によって確認された。 2)抗アポトーシスタンパク質Mcl-1の選択的分解機構についての解析 ATF6の活性化によってWBP1(WWドメイン結合タンパク質1)の特異的な発現上昇が起こる。WWドメイン含有タンパク質群に含まれている9種類のE3ユビキチンリガーゼの中からWBP1に結合するものがあるかどうか検討するため、E3リガーゼcDNAを発現ベクターにクローニングし、C2C12細胞内での強制発現を試みた。発現の検出を容易にするためE3リガーゼにGFPタグを付けた。9種類のGFP-リガーゼ融合タンパク質は概して発現量が低く、これらのリガーゼ自体がユビキチンプロテアソーム系による量的制御を受けていることが示唆された。 3)カスパーゼ12基質 カスパーゼ12基質候補の探索をin vitroで行うために、cDNAライブラリーを用いてタンパク質のin vitro合成を行った。[35S]メチオニン存在下で合成させたタンパク質群を組換えカスパーゼ12で処理し、切断されるタンパク質を電気泳動とオートラジオグラフィーによって検出し、基質の候補を複数得た。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
解析対象としたATF6及びWWドメイン含有タンパク質群に含まれている9種類のE3ユビキチンリガーゼに関しては、筋芽細胞内において強制発現させることを達成した後にさらに解析を進める予定であった。しかし、これらのタンパク質の強制発現は必ずしも容易には達成できないことが判明したため、この問題を乗り越える工夫が必要となっている。ただし、発現量が低いことは使用しているベクターや遺伝子導入法に固有の性質ではなく、他のタンパク質の発現においては良好な結果が得られることを確認した。従って、本研究においてターゲットとしているタンパク質は細胞内で比較的厳密な量的制御を受けている可能性がある。
|
Strategy for Future Research Activity |
1)ATF6の特異的な活性化機構: ATF6と共沈降する分子を電気泳動と質量分析により特定し、活性化促進因子の候補として解析を進める。活性化促進因子候補に対する抗体を準備し、ウエスタンブロット解析や細胞免疫染色によってこの分子が時期特異的に小胞体上でATF6と相互作用し、活性化を促進することを示す。 2)抗アポトーシスタンパク質Mcl-1の選択的分解機構: Mcl-1特異的なE3リガーゼの候補を筋芽細胞中で強制発現させた場合に細胞内のMcl-1レベルが下がることを確認する。ATF6を活性化させるような小胞体ストレス存在下にある筋芽細胞や、活性型ATF6を発現させた筋芽細胞中におけるE3リガーゼ候補の細胞内局在や量的変化等について調べる。E3リガーゼ候補がATF6活性化に応答してMcl-1の分解を制御していることを示す。 3)カスパーゼ12による基質切断の役割: 筋分化過程で基質候補が示す挙動をウエスタンブロットによって解析する。基質候補がこれまでほとんど解析されていないものである場合には、ポリクローナル抗体の作製やsiRNAの作製を新たに行う。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度中は「現在までの達成度」欄に記載した事情により研究の進展が計画に比べてやや遅れたため、繰り越し金が生じた。 次々年度にこの研究の一区切りをつけるため、良質のポリクローナル抗体やsiRNAを用いた検証実験をする予定である。良質の抗体やsiRNAを得るまで抗体やsiRNAの作製を繰り返す可能性が少なからずあるが、平成24年度からの繰り越し金を加えて目標を達成する。
|
Research Products
(3 results)