2012 Fiscal Year Research-status Report
核膜形成機構:オルガネラ形成を規定する膜タンパク質動態制御
Project/Area Number |
24570223
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
船越 智子(石井智子) 独立行政法人理化学研究所, ライブセル分子イメージング研究チーム, 基幹研究所研究員 (90318460)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 細胞核 / 核膜 / 核膜孔 / セミインタクト細胞 / 再構成 / in vitro / 可視化 |
Research Abstract |
セミインタクト細胞を用いたin vitro核膜再構成系を利用し、核膜タンパク質の染色体への局在化を指標として、核形成初期に関わる制御因子の検索を試みてきた。これまでに細胞質画分、ATP、GTPが必要であることを示して来た。核膜タンパク質LBRの染色体局在化における細胞質依存性が、細胞周期の進行で異なることが観察されていた。 1. 細胞質依存的な核膜タンパク質の中期染色体への局在化について: 前中期同調細胞の細胞質、ATP、GTP存在下、CDK阻害剤を添加することで、LBRだけでなくEmerinも中期染色体周辺へ集積し、生細胞で観察される染色体周辺での両者の排他的な局在パターンも再現することができた。後期染色体においてはLBRとEmerinの集積だけでなく、NLS-BSAが核内へ輸送された。この結果は、核輸送活性を保持する核膜孔複合体が核膜上に構築されていることを示している。一方、中期ではLBR、Emerinは染色体に集積するが核輸送活性は殆ど検出されず、FG-Nupsも検出されなかった。核膜孔形成に関して、前期から中期にかけて染色体の状態が変化することを示している。 2. 細胞質非依存的なLBRの後期染色体への局在化について: セミインタクト細胞においては、後期染色体へのLBRの集積に細胞質成分を必要としないことを示して来た。このLBRの集積はキナーゼ阻害剤では阻害されず、オカダ酸で阻害されたため、ホスファターゼ活性を必要とすることが示唆されていた。そこで、PP1、PP2A/PP2B阻害剤である、Inhibitor-I、fostriecinを添加したところ、PP1特異的阻害剤でLBRの集積が抑えられた。後期染色体上に活性型PP1が局在するとの報告と合致しており、セミインタクト細胞中でもPP1活性が保持され、LBRの染色体への集積に関して正に制御する因子の1つであることが判った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1. 核膜タンパク質局在化に関わる細胞質因子の検索について: 細胞質画分の活性の不安定性といった問題点もあり、生化学的手法による候補因子の同定については進展させることが出来ていない。しかしながら、分裂期細胞質画分を用いて核輸送活性を示す核膜をin vitroで再構築することに成功した。再構成された核膜上に核輸送機能を持つ核膜孔が形成されたことを示している。生細胞内で観察されるLBRとEmerinの染色体周辺での排他的な局在パターンも再現していた。今後予定している、負・正の核膜形成制御因子の探索と平行して核膜孔形成制御についても検討できる条件を得たと考えている。 2. 細胞質非依存的なLBRの後期染色体への局在化について: 特異的阻害剤を用いてホスファターゼの内、PP1の活性が必要であることを明らかにすることが出来きた。
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Strategy for Future Research Activity |
核膜・核膜孔形成に寄与する可能性がある候補因子について、それらのセミインタクト細胞内での挙動の他、阻害剤、過剰添加による影響などを調べる。細胞質制御因子の検索については生化学的解析の試みを継続する。その他、平成26年度の研究実施計画に予定した項目についても可能なものは本年度に実施する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
共同利用などを通して、主に細胞培養に関しての消耗品や器具の購入分が予定より下回った。次年度は研究実施場所が異なるため、主に細胞培養に必要な環境を整えるために使用する予定である。 他は申請時の予定に沿って消耗品と試薬の購入を主として使用する予定である。
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Research Products
(10 results)