2014 Fiscal Year Annual Research Report
低分子量Gタンパク質間クロストーク制御による細胞移動と軸索伸長メカニズムの解析
Project/Area Number |
24570226
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
戸井 基道 独立行政法人産業技術総合研究所, バイオメディカル研究部門, 研究グループ長 (50344213)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 低分子量Gタンパク質 / 細胞移動 / 神経軸索伸長 / 線虫 |
Outline of Annual Research Achievements |
神経細胞の適切な移動やその軸索の伸長制御は、脳や個体内で機能的な神経回路網が形成されるために必須である。低分子量Gタンパク質は、細胞内の様々なシグナル伝達を制御する基本分子であり、そのうちRho/Racファミリーは、細胞骨格アクチン動態の制御に関与する。これまでの研究で、線虫のRac1であるCED-10の活性化型と特異的に結合する分子としてRIN-1タンパク質を同定した。今年度はこのRIN-1およびそのヒトホモログhRin1を用いて、Gタンパク質群との相互作用およびその活性化機構についての生化学的解析を試みた。RIN-1/hRin1および各Gタンパク質をインビトロで発現・精製するため、大腸菌の発現系を用いて大量精製を試みた。RIN-1/hRin1はかなり大きな分子であるため、まずGタンパク質群と相互作用するC末端側に分けて発現を行った。残念ながらRIN-1/hRin1は大腸菌での発現がとても低く、精製後も明確なバンドとしてその発現を確認できなかった。 そのため培養細胞を用いて細胞内での局在解析と相互作用解析を試みた。Gタンパク質群にはMycタグを融合させ(および場合によりGFPを結合させたもの)、RIN-1/hRin1にはFlagタグを融合させて培養細胞に共発現させた。細胞内でhRin1タンパク質とRac1は細胞膜上で共局在し、免疫沈降法を用いて活性化型Rac1と相互作用していることを明らかにした。同様にRin1は小胞と推測される細胞内領域にも局在し、そこでRab5と共局在していることも観察された。Rasとは細胞内で明確な共局在は見られなかった。これらの結果は、Rin1が確かに複数のGタンパク質と細胞内で相互作用することを示唆している。今後構造変化と特異的結合制御のメカニズムに迫るために、大量発現系を再構築し、詳細な細胞分子機構の解析に繋げていきたい。
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Research Products
(2 results)