2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24570231
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
二宮 裕將 東京大学, 総合文化研究科, 学術研究員 (40514237)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 秀治 東京大学, 教養学部, 准教授 (90447318)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 形態形成運動 |
Research Abstract |
A.「体節および後脳・脊髄の伸長運動と組織極性の関係」 組織極性による伸長運動の原理に多様性がどの程度あるかについては検討するため、ツメガエル胚細胞からin vitroで体節、神経を均一に誘導し、またヒトiPS細胞より背側中胚葉を均一に誘導する系を確立した後、それらの系における伸長運動と組織極性の関係を解析しました。脊索組織と同様に、誘導された体節・神経組織は均一な分化状態では伸長運動を示さないのに対し、極性のあるアクチビンシグナルにより極性の方向への伸長運動が誘導されました。脊索ではアクチビンシグナルの極性のみが伸長運動を誘導するのに対し、体節では抗BMPシグナルの極性が、神経組織ではFGFシグナルの極性が、それぞれ伸長運動を誘導できました。in situ hybridization解析の結果、伸長した体節組織内ではXbrachyuryとXmyoD、神経組織内ではXhoxB9の発現が極性となって検出されました。また、Wnt等のシグナル処理がヒトiPS細胞よりBrachyuryを発現する中胚葉細胞を誘導し、誘導した組織内の極性が伸長を誘導することを示唆する結果が得られました。これらのことより、ツメガエル背索以外の背側組織における伸長運動において脊索と同様に組織極性の原理が働いているものの、極性形成に関係するシグナルについては多様であることが示されました。この解析は脊椎動物細胞の形態形成運動の一般性を明らかにすると共に、創薬・再生医療等の応用への道を切り拓くはずです。 C.「伸長を示す組織の力学特性の定量」 粘弾性流体力学におけるパラメーターである表面張力や粘性率を測定するため、トロントへ出向し、Axisymmetric Drop Shape Analysis等のプログラムの使用方法を習得し、力学パラメータ-測定の準備を整えました。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
A.「体節および後脳・脊髄の伸長運動と組織極性の関係」については組織極性と伸長の条件設定に成功すると共に、25年度に予定していたin situ hybridization解析もすでに始めている。その上さらに、予定には無かったヒトiPS細胞のin vitro伸長運動系の作成にも成功しており、予定を上回る成果を挙げている。B.「伸長を補助する上皮組織の挙動に影響を及ぼす因子についての解析」については始動しておらず、予定を達成していない。C.「伸長を示す組織の力学特性の定量」については準備が整った状態であり、予定通りといえる。以上のことから、全体としては順調に進行している、といえる。
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Strategy for Future Research Activity |
A.「体節および後脳・脊髄の伸長運動と組織極性の関係」については、予定通りツメガエル組織でin situ hybridizationなど組織極性検出のための解析を進めると共に、誘導シグナル下流因子の活性検出を試みます。哺乳類細胞ではヒトiPS細胞とマウスES細胞のin vitro伸長運動系を誘導する最適条件を確立し、細胞運動や遺伝子発現などの解析を進めていく予定です。B.「伸長を補助する上皮組織の挙動に影響を及ぼす因子についての解析」については24年度に出来なかったシグナル因子の過剰発現・阻害実験を始めると共に、できれば細胞の挙動などの解析も進めていきたいと考えています。C.「伸長を示す組織の力学特性の定量」については組織の力学的定量を開始する予定です。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実験に必要なincubator, water bath等の小型備品やプラスチック製消耗品、培養液、組織・分子生物学用試薬、リコンビナント因子タンパクや抗体等の購入に研究費を使用します。
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