2013 Fiscal Year Research-status Report
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24570231
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
二宮 裕將 東京大学, 総合文化研究科, 学術研究員 (40514237)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 秀治 広島大学, 理学(系)研究科(研究院), 特任准教授 (90447318)
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Keywords | 形態形成運動 / 誘導 / 上皮 |
Research Abstract |
A.「体節および後脳・脊髄の伸長運動と組織極性の関係」 組織極性による伸長運動の原理の多様性ついて検討するため、a.「ツメガエル胚細胞からin vitroで神経を誘導」し、またb.「ヒトiPS細胞より背側中胚葉を誘導」した後、それらの系における伸長運動と誘導シグナル極性の関係を解析しました。アクチビンシグナル極性が働くツメガエル脊索組織とは異なり、誘導された神経組織はFGFシグナルの極性が、ヒト背側中胚葉ではWntシグナルの極性がそれぞれ伸長運動に働いていました。またFGFシグナルを加えた神経組織では、Wntと抗BMPシグナルの極性もそれぞれ伸長運動を引き出しました。遺伝子発現解析の結果、後方神経遺伝子であるXhoxB9や中胚葉遺伝子であるMyoDの発現が微弱でも組織伸長できることが示唆されました。これらより、1.「伸長運動の極性形成に関係するシグナルについては多様である」ことと、2.「組織伸長には完全な組織分化を必ずしも必要としない」ことが解明されました。 B. 伸長を補助する上皮組織の挙動に影響を及ぼす因子についての解析 イモリの単層外胚葉上皮形成過程を解析し、重層上皮であるツメガエルと比較した。その結果、ツメガエルと異なり、イモリでは外胚葉細胞分裂時の紡錘糸が細胞表面に対し平行に方向付けられていること、および動物極側に形成された少数の内層細胞はその後上皮層に組み入れられること、が観察された。次に上皮極性維持に働くaPKCλとLglの過剰発現により、内層細胞の人為的な過形成を誘導した。するとツメガエルでは内層細胞の拡散による層構造の均一化が見られるのに対し、イモリでは局所的な外胚葉層肥厚が見られ、より重篤な形態異常を引き起こした。これらの結果より、上皮層構造の違いは細胞の振る舞いや発生メカニズムにいくつかの変化をもたらすことが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
A.「体節および後脳・脊髄の伸長運動と組織極性の関係」については、神経組織極性と伸長の条件設定を詳細に突き詰めて、in situ hybridization解析を行いましたが、組織極性の確認は未だ不十分です。しかし、ヒトiPS細胞のin vitro伸長運動系の確立は予外の重要な成果です。B.「伸長を補助する上皮組織の挙動に影響を及ぼす因子についての解析」については単層上皮と重層上皮の違いについてのメカニズムを詳細に解析しており、その点については想定以上の成果を挙げています。C.「伸長を示す組織の力学特性の定量」については十分な成果が得られていません。
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Strategy for Future Research Activity |
A.「体節および後脳・脊髄の伸長運動と組織極性の関係」については、マウスES細胞のin vitro伸長運動系を誘導する最適条件を確立し、組織分化を確認します。さらにツメガエルおよび哺乳類組織で誘導シグナル下流因子の活性を検出し、シグナル阻害実験や細胞運動解析を進めていく予定です。B.「伸長を補助する上皮組織の挙動に影響を及ぼす因子についての解析」については様々な因子の過剰発現・阻害実験を進め、その細胞挙動への影響を解析します。C.「伸長を示す組織の力学特性の定量」については様々な組織の表面張力測定に取り組みます。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
予定以上の成果があがった哺乳類細胞伸長系確立や単層上皮と重層上皮の比較は比較的低予算で進められたものの、予定していた免疫染色、RT-PCR等の解析が遅れ、未使用額が生じました。 今後の哺乳類細胞伸長系の分子生物学的解析のために予定以上の支出が予想されます。また、遅れている免疫染色、RT-PCR等の解析を速やかに進めることにより、未使用分を使用します。
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Research Products
(4 results)
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[Presentation] Functional analyses of novel Insulin-like factor
Author(s)
Yoshikazu Haramoto, Shuji Takahashi, Yasuko Onuma,Yuzuru Ito, Makoto Asashima
Organizer
IABHU International Symposium -Frontiers in Amphibian Biology: Endangered Species Conservation and Genome Editing-
Place of Presentation
広島大学理学研究科(広島県東広島市鏡山 1-3-1)