2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24570234
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
前野 貢 新潟大学, 自然科学系, 教授 (10190315)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 尚志 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (80350388)
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Keywords | 骨髄球 / ゼノパス / モルフォリノ / 胚 / 転写因子 / 抗体 / 脊椎動物 |
Research Abstract |
本課題では、アフリカツメガエルにおける胚血島および造血の制御機構を理解することを目的として研究に取り組んでおり、平成25年度には以下のような成果を得た。第一に、心臓原基に付随して出現する骨髄球の分化制御のしくみを、前年度に引き続いて解析を進めた。これまでに知られている骨髄球転写因子CEBPαに加え、心臓形成にかかわる転写因子NKx2.5およびGATA4が骨髄球の分化にかかわることを示し、論文をまとめ投稿した。第二に、この延長上の実験として、cebpαの発現制御にかかわるエンハンサーの同定を試み、ネッタイツメガエルcebpα遺伝子 5’フランキング配列中にdkk1の過剰発現による骨髄球分化誘導に特異的に反応するエレメントが存在することを見いだした。第三に、骨髄球特異的に働くエンハンサー配列をネッタイツメガエルmpo遺伝子に同定し、その配列を用いたトランスジェニックガエルの作成をおこなった。現在、成体となったカエルを飼育中であり、F1個体の作成の準備を進めている。第四に、過去に獲得していたモノクローナル抗体の再評価を含め,アフリカツメガエルの白血球を特異的に認識する抗体の調達を進めた。末梢全血球より白血球-栓球画分(除赤血球画分)を分離し,これを免疫したマウスの脾臓とミエローマを細胞融合して得られたハイブリドーマのうち,白血球を認識する抗体(T5)の認識性の評価を進めた。T5抗体は一部の栓球も認識するため白血球特異的とはいえなかったが,分化段階あるいは血球系譜の異なる白血球を分別する可能性がある。また,赤血球系細胞を免疫抗原にして作出したモノクローナル抗体のうち,たまたま白血球を認識する抗体を見出した。これらの発生胚や幼生の細胞の認識性を調べる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
胚前方から分化してくる骨髄球の分化制御機構の解析は終了し、論文投稿した。これに対して、レフリーからいくつかの改訂を要求され、それを満たすべく追加の実験をおこなっている。mpoのエンハンサーを用いたトランスジェニック個体の作成を成功したことにより、最も時間がかかることが予想されていた骨髄球をGFPラベルした個体の量産に目途がついた。まだ、次世代のカエルを得るまでは、数ヶ月かかる見込みであるが、今年度中に目的が達成される予定である。cebpα遺伝子の発現にかかわるエンハンサー候補を発見できたのは、予想以上の進展であると考える。この発見により、dkk1によるWntシグナルの阻害に始まり、骨髄球特異的な転写因子の発現が起こるまでの分子機構の解明に道筋がついた。以上のことより、全体として概ね順調に研究が進んでいると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
第一に、投稿論文を完全なものに仕上げることに全力をそそぐ。今後2~3ヶ月中に達成されると予想している。第二に、mpoエンハンサー配列を用いたトランスジェニック個体におけるGFP発現が骨髄球特異的であることを検証する。半年後を目途に次世代のオタマジャクシを得てそれらがトランスジーンを保有しているかどうかを検証する。第三に、cebpα遺伝子のエンハンサー領域の同定をおこなう。現在までに、フランキング配列約6kb中にdkk1に応答する領域を同定している。この配列中のどこに応答領域があるかを、欠損変異体を複数作成することにより、結論づける。最終的には500bp程度に領域を絞ることが可能と考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
特に理由はなし 物品費として使用
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Research Products
(8 results)