2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24570239
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
餅井 真 兵庫県立大学, 生命理学研究科, 准教授 (90202358)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | アフリカツメガエル / 再生 / 傷表皮 |
Outline of Annual Research Achievements |
アフリカツメガエル幼生の尾部再生過程をモデルとし、尾部を切断した後迅速に傷口が修復され、さらに再生開始へとつつながるメカニズムの解明をめざしている。本年度は以下ような成果が得られた。 1、 傷修復および傷表皮キャップ形成過程の解析。傷表皮で特異的にEGFPを発現するトランスジェニックアフリカツメガエル系統(ES1:egfp)の子孫が使用可能となり、egfpの発現のばらつきの少ない集団を用いた経時的解析が可能となった。その結果、発現開始に関するライブイメージングが可能となり、ES1:EGFPは尾部切断後6時間程度、まだ表皮が移動を開始する前に発現を開始することがわかった。 2、 傷表皮形成に必要なシグナルの推定。上記ES1:egfp系統におけるEGFPの発現開始を指標として、傷表皮や傷表皮キャップ形成を阻害する薬剤のスクリーニングをおこなった。その結果、ROSシグナルおよびmek/erkシグナルが傷表皮形成過程に必要であることが新たに示唆された。 3、傷表皮特異的遺伝子の解析。すでに同定したes1に加えて、転写因子であるgrainy head like-1, -2, -3の遺伝子が、傷表皮および傷表皮キャップ形成過程で発現上昇することがわかった。また、これらの遺伝子発現のタイミングには、時間的に差があり、それぞれ固有の役割を持つ事も示唆された。さらにgrainy head like遺伝子群の、傷表皮形成および再生における機能を明らかにする目的で、これら因子を拮抗的に阻害する変異遺伝子を作製し、それを発現するトランスジェニック個体を作製している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究においては、傷表皮で特異的に蛍光タンパク質を発現するトランスジェニック系統(ES1:egfp)の使用が、様々な実験においてキーとなっている。この系統の個体が、実験に十分な数の子孫を産むよう成熟するまでに予定よりも時間がかかり、いくつかの解析において、研究の遅れを引き起こした。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、ES1:egfp系統を駆使することにより、より詳細なライブイメージングをおこない、細胞レベルで、傷修復過程の解析をおこなう。また、傷修復に必要と思われるROS. mek/erkシグナルについて、それらシグナルの各構成因子について、より詳細な解析をおこなう。また、grainy head-like遺伝子の機能についての解析もおこなう。
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Causes of Carryover |
本研究計画のかぎとなる傷表皮で特異的蛍光タンパク質を発現するトランスジェニック系統(ES1:egfp)個体が性成熟し、十分な数の子孫が得られるようになったのが、当初計画よりも遅れ、平成26年度途中であった。そのためいくつかの実験については、次年度も継続しておこなう必要が生じたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
ES1:egfp系統を用いたライブイメージング、遺伝子発現解析にかかる試薬等の物品および、研究発表に要する費用にあてられる。
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