2014 Fiscal Year Annual Research Report
三次元培養によるヒト多能性幹細胞から小脳組織への分化誘導
Project/Area Number |
24570242
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
六車 恵子 独立行政法人理化学研究所, 多細胞システム形成研究センター, 専門職研究員 (30209978)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 小脳 / ヒト多能性幹細胞 / 神経分化 / 3次元培養 / 自己組織化 |
Outline of Annual Research Achievements |
小脳は緻密な運動の制御に重要な役割を果たすため、小脳神経の変性および脱落によって重篤な運動失調が引き起こされる。しかしながら脊髄小脳変性症に代表される神経変性疾患や小児に多い髄芽腫などは、発症メカニズムが不明な事もあり未だ根治療法が無い。創薬や原因究明のためにも、ヒト由来細胞での有用な解析モデルの確立が急がれる。研究代表者はマウス胚性幹細胞(ES細胞)から小脳プルキンエ細胞の効率的な分化誘導法を報告しており、本研究課題において、同法をヒトES細胞およびiPS細胞に活用する事を目指している。本課題では個別の小脳神経細胞の効率的な誘導法に留まらず、組織構築と細胞間ネットワークを保持した「試験管製の小脳:in vitro cerebellum」をヒト由来細胞で作製する事によって、疾患の原因究明や創薬研究へと繋げる事を目的とする。 分化誘導は3次元浮遊培養法によって小脳の発生過程を再現する事でおこなった。具体的には、無血清培地下でFgf2とインスリンの協調作用によって、小脳の発生には必須の菱脳峡オーガナイザーが誘導された。オーガナイザーの誘導によって、ヒトES細胞から自律的に、効率よく小脳神経前駆細胞へと分化される事が今回の研究によって明らかとなった。発生を再現した自己組織的な分化誘導により、プルキンエ細胞だけではなく顆粒細胞など複数種類の細胞を同時に分化誘導させる事も可能であった。小脳を構成する複数種の細胞群から組織構造を構築させる事を目指したところ、培養過程でFgf19とCXCL12を添加することにより、小脳神経細胞からなる層構造を形成させることにも成功した。ヒトES細胞で確立した本分化誘導法をヒトiPS細胞へ活用したしたところ、プルキンエ細胞をはじめとした小脳神経細胞が分化させる事が可能であった。
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