2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24570244
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kawasaki University of Medical Welfare |
Principal Investigator |
竹内 雅貴 川崎医療福祉大学, 医療技術学部, 講師 (00392019)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 初期発生 / 体軸形成 / ポリプテルス / 多様性 / 進化 |
Research Abstract |
本研究の目的は、脊椎動物において初期発生システムの進化・多様化がどのようにしておこったのかを探る事である。そのため、原始的条鰭類ポリプテルスの初期胚発生を分子生物学的手法を用いて解析し、他のモデル脊椎動物との比較解析を行っている。研究初年度である平成24年度は、ポリプテルスESTデータベースにある頭部オーガナイザー遺伝子(gsc, hex, otx, dkk, dan, cerなど)の発現を検証し、これまで行ってきた胚葉マーカーや背側オーガナイザー遺伝子の発現領域と比較する事で、ポリプテルス胚での頭部オーガナイザー領域の時空間的配置を解析した。結果として、頭部オーガナイザー遺伝子の発現は初期原腸胚における原口周辺の深部に見られる事が明らかとなった。また、アフリカツメガエル胚に完全な頭部を誘導できるポリプテルスのsiamois関連遺伝子(上記データベースで発見された両生類以外で初めて見つかったsiamois orthologで、dioskouroiと命名、以下dios)の発現も頭部オーガナイザーで見られる事を明らかにした。 一方で、diosの機能解析を進めている。アフリカツメガエル胚での二次軸誘導は、siamois同様に転写活性化因子としての働きである事が判明した。また、siamois/twin機能阻害胚の表現型はポリプテルスの遺伝子であるdiosの異種過剰発現で救済される事から、両遺伝子:アフリカツメガエルのsiamoisとポリプテルスのdiosは同じタンパク機能を有すると考えられる。具体的には、共に転写因子である事から、標的となる遺伝子を同様に制御しうる機能を持っているという意味である。しかしながら、両者の機能阻害によるそれぞれの動物での表現型(アフリカツメガエルでは頭部欠損、ポリプテルスでは体軸形成なし)は異なるため、ポリプテルスでのdios標的遺伝子にフォーカスする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ESTデータベース内の頭部オーガナイザー遺伝子について、発現検証をRT-PCRとin situ hybridizationで行った。いくつかの遺伝子についてはin situ hybridizationでの検出感度を上げる努力が必要であるが、発生進行に伴う時空間的な領域変化の概要は把握できつつある。また、中心的な役割を果たすと考えられるポリプテルスのsiamois関連遺伝子diosの発現も、組織切片で発現の検出が可能となった。diosの転写活性を調べるため、その転写抑制型と恒常的活性化型コンストラクトを構築、アフリカツメガエルsiamoisとの比較検討によって転写アクチベーターである事も確認できた。このように、おおむね研究実施計画にそって結果が出ており、今後の展開に期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、ポリプテルスのsiamois関連遺伝子diosの機能解析を進める。dios機能阻害胚は体軸が全 く形成されず、RT-PCRではgoosecoidやchordin, nodal(sqt, cyc)に加えて内胚葉マーカーsox17の発現低下が検出されているため、in situ hybridizationでもこれらの発現低下を確認する。また、機能阻害胚での頭部オーガナ イザー遺伝子の発現についても検証したい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究計画に沿っていくつかの消耗品が追加で必要となり、見積書を元に前倒し申請をした。しかしながら、実価格との差から比較的少額(64,542円)であるが繰り越す事となった。翌年度以降はこの繰り越しを加えて計画を見直し、RT-PCRとin situ hybridizationにかかわる消耗品として使用する。
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Research Products
(3 results)