2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24570244
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Research Institution | Kawasaki University of Medical Welfare |
Principal Investigator |
竹内 雅貴 川崎医療福祉大学, 医療技術学部, 講師 (00392019)
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Keywords | ポリプテルス / siamois / 進化 / 初期発生 / 内胚葉 |
Research Abstract |
本研究の目的は、ポリプテルスの初期発生機構を解析し、脊椎動物の多様な初期発生機構が進化の過程でどのように獲得されてきたかを理解する事である。昨年度までの研究において、両生類におけるmix-type homeobox転写因子siamoisの類似遺伝子がポリプテルスで見つかり、dioskouroi (dios)と命名した。diosを機能阻害されたポリプテルス胚では原腸形成が阻害され、体軸の形成が全く不全となる。dios機能阻害胚のマーカー解析によって、オーガナイザー遺伝子以外にnodal-related遺伝子と内胚葉マーカーでも著しい発現低下が観察された。この結果は、アフリカツメガエルsiamoisとは異なり、diosはポリプテルスの胚発生において頭部形成・体軸形成だけでなく、内胚葉分化においても必要とされる事を示唆する。さらに、ポリプテルスのanimal cap assayにおいて、Wntシグナルの亢進が中内胚葉分化を引き起こす事、この際、diosの活性を必要とする事を示唆する結果を得た。すなわち、Wntシグナルはアフリカツメガエル胚ではsiamoisを介した体軸形成において役割を果たすが、ポリプテルス胚では体軸形成・胚葉形成の両面でdiosを介して重要な役割を果たす。従って、脊椎動物においては、Wntシグナルのターゲットとなるsiamois関連遺伝子の有無はもちろん、siamois関連遺伝子の役割の違いが、初期発生分子機構に多様性を生じさせた重要なポイントであると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の予定では、ポリプテルス胚における内在のWntシグナルとdios、またそのターゲットとなる遺伝子群がどのような発現制御ネットワークを構築しているのかについて解析を進める予定であった。これらの解析では、ポリプテルス受精卵へ各種mRNAや特異的機能阻害のためのMorpholino Oligonucleotidesを顕微注入する必要がある。しかしながら現在、ポリプテルスの受精卵を得る事自体が比較的困難な状況であり、研究の進行に直結している。また、試薬や備品が計画どおりに納品されていない事も進捗に影響している。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、ポリプテルスのsiamois関連遺伝子diosの機能解析を進める。ポリプテルス胚の入手に問題は残るが、Xenopus胚を使った実験や、これまでに収集した凍結サンプルを有効に活用し、in situ hybridizationを中心に解析を行う事で回避したい。その際、結果を論文としてまとめるための実験を計画的に遂行したい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
発注した物品(卓上遠心分離器)が予想以上に納期が長く、3ヶ月を要するとの事であった。当該年度中に納品が間に合わなかった事が次年度使用額が生じた理由である。 次年度使用額については、発注した物品(卓上遠心分離器)が次年度早々に納品され、使用される予定である。また納品価格が抑えられた場合には、ポリプテルスの受精卵を効率よく得るためにホルモン製剤を購入する等の予算に充てる予定である。 また、翌年度助成金については使用計画に則り、実験試薬を中心に実験動物とその飼育に関わる用品、学会・共同研究者(分担者ではない)との打ち合わせに関わる旅費、その他論文作成費などを計上する。
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Research Products
(3 results)