2014 Fiscal Year Annual Research Report
マカクザル繁殖集団における適応度関連分子マーカーの開発と野生集団への応用
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24570253
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田中 洋之 京都大学, 霊長類研究所, 助教 (20335243)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川本 芳 京都大学, 霊長類研究所, 准教授 (00177750)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | マカクザル / マイクロサテライトDNA / 主要抗原適応遺伝子複合体 / 繁殖集団 / ニホンザル / アカゲザル / 進化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,マカクザルにおいて、免疫応答に密接に関係する主要組織適合抗原複合体 (MHC)遺伝子に連鎖する複数のマイクロサテライトを分析することにより、間接的にMHC遺伝子群の遺伝子型を推定し、このマイクロサテライトが適応度関連分子マーカーとして有用か検討すること、及びその進化的な特徴を考察することを目的としている。 H26年度も当研究所のマカクザルコロニーの個体について、MHC連鎖マイクロサテライトの遺伝子型判定を継続し、過去に病気となったマカクザル個体、個体群と比較するため、ニホンザル嵐山群及び高浜群、アカゲザルインド群及び中国群の2007年度個体群全頭について判定を完了した。血小板減少症により死亡個体を大量に出した波勝群や原因不明の病気となった高浜群の個体について、保存血液試料を用いてMHC連鎖マイクロサテライトならびに中立マーカーとして常染色体上のマイクロサテライト22遺伝子座の遺伝子型判定を行った。2007年度のマカクザルコロニー4群と波勝群および病気個体群との間で、遺伝的多様性の指標を中心に集団遺伝学的解析を行った。また、波勝群の個体で血小板減少症の症状や発症時期等の特徴とMHC連鎖マイクロサテライトの遺伝子型との関連を調べた。 キタブタオザル野生群(タイ東部)との比較のため、近縁別種のスマトラ産ミナミブタオザルのMHC連鎖マイクロサテライトと中立マーカーを調べた。MHC連鎖マイクロサテライトにより、近縁なミトコンドリアタイプを持つ両個体群が区別されることがわかった。キタブタオザル野生群とスマトラ産ミナミブタオザルのMHC連鎖マイクロサテライトの進化について考察を進めるために、これまで行ってきたブタオザル種群の系統地理学的研究を第25回国際霊長類学会(ベトナム)で発表し、さらにマカク属種群の分類変遷とブタオザル種群の分子系統地理学について第68回日本人類学会大会(静岡県)で発表した。
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Research Products
(2 results)